「久しぶりだな。」
「・・・・・・・。」
ギルの手には碧色の石があった。
それを持った手は高々と上げられた。
「これがどういう意味かわかるか?」
それを見たゲルマは独り言のようにつぶやいた。
「成程。どうりでフォレスが戻って来ないわけだ。」
「そうだ。奴はオレが、」
「始末したんだろう?
組織を抜けたのはこんな下らないことをするためか?」
「さぁな。ただ一つ言えるのはな。」
ギルはイノムーを出した。
「お前の配下なんて冗談じゃない、そういうことだ。」
それに対し、ゲルマはカイリューを出した。
「覚悟は出来ているんだろうな?ギルよ。」
少しばかり両者の間に沈黙が流れた。
両者とも、相手の動きをうかがっている。
だが、その沈黙は破られた。
先に動き出したのはギルだった。
「“ふぶき”!」
イノムーの“ふぶき”がカイリューを襲う。
カイリューの体は次第に凍り付いてきた。
そしてそのトレーナーであるゲルマの体にも・・・。
「ふふ。もう少し楽しみたかったですよ、マイボス。」
ギルがからかうように言った。
だが、ゲルマは動揺したり、恐怖に堕ちたりはせずに
逆に不可解な笑みを浮かべていた。
それを見たギルは憤りを感じた。
「何がおかしい!!?」
その瞬間、全ての氷が解けた。
ギルはいきなりの出来事にただ呆然と立っていた。
そこには平然とたっているゲルマがいた。
「あの時と変わらないな、ギル。」
「・・・・・どういうことだ。」
「浅はかと言うことだ。」
カイリューはギルとイノムーに向かって“だいもんじ”をぶつけた。
一方、街の郊外の碑の洞窟ではケーンとスノウが戦っていた。
ケーンはソーナンス、スノウはハクリューで戦い、
それに対抗するはネロのキングドラ、ナルクのエビワラーだ。
押しも引きもしないこの戦いに先手を取ったのはネロだった。
「キングドラ!“えんまく”。」
キングドラが放つ黒煙が辺りを染めた。
ケーンはたじろいだが、スノウは余裕といったところだ。
「大丈夫よ。相手も見えないはず。」
スノウはケーンにそう言った。
すると、それを聞いていたのか、黒煙の中から誰かの声が聞こえた。
「それはどうかな。」
次の瞬間、エビワラーが黒煙の中から突然出てきた。
「エビワラー!“マッハパンチ”!!!」
黒煙の中から誰かが指示を出した。
エビワラーの放つ速いパンチはケーンを捉えた。
が、ケーンはソーナンスの“カウンター”で対抗した。
エビワラーは自分の攻撃の反動を貰うと、
また黒煙の中へと消えていった。
「なんとか反撃は出来るが、このままじゃ確実にやられる。
どうにかならないのかよ?スノウ。」
「私も考え中。何かいい手があればいいんだけど・・・。」
そんな話をしている最中にも攻撃は続く。
「せめてこの煙が晴れればなぁ。」
ケーンが願いがましく言った。
「煙・・・?」
スノウは“煙”に何かが引っかかった。」
「そうだわ。ハクリュー!!!」
ハクリューの首の珠が不思議な光を放った。
するとその光に呼応するように黒い雲が辺りを覆った。
そして激しい雨が降り出した。
黒煙は雨によって洗い流され、晴れた。
「勝負はここからよ!」
「“あまごい”・・・。
天候を操るハクリューにはもってこいの技・・・。
やるじゃない。」
ネロがこぼした。
「“えんまく”が晴れたところで我等に勝てるとは思えんが・・・。」
「どっちにしろもう“えんまく”はもう使えない。」
ケーンが言った。
勝負は振り出しにもどった。
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