勝負は振り出しにもどった。
「振り出しにもどった・・・か。
いくら勝負が振り出しになろうが我等は負けん。!!!」
ナルクは自信満々に言った。
「エビワラー!!」
ナルクは続けて指示をした。
エビワラーは再びパンチ攻撃をソーナンスに与えた。
先程跳ね返されたのにもかかわらず、だ。
ナルクの意地だろうか。
エビワラーのパンチは先刻と同じようにソーナンスを捉え、
ソーナンスも同じように跳ね返す、はずだった。
ソーナンスはぐらりと倒れた。
「ソーナンス!!!」
ケーンはソーナンスに駆け寄った。
その時、ソーナンスに拳大の火傷があることに気が付いた。
「ま、まさか・・・。」
ケーンには心当たりがあるようだ。
「あぁ、そうだ。
俺のエビワラーが放ったのは“かみなりパンチ”。
先刻のように“カウンター”では跳ね返せぬぞ。」
あの真夜中のウェズ戦でも同じような方法で
“カウンター”と“ミラーコート”を破られた。
ケーンのソーナンスの大きな弱点である。
「何にせよこれでお前の壁は崩れた。」
ナルクはさらにカイリキーを出した。
「ゴ、ゴーリキー!!!」
ケーンはカイリキーに対し、ゴーリキーで対抗した。
「進化前か・・・。それで勝てるのか?」
「ぅ・・・・・。」
ケーンは反論できなかった。
「ケーン!!!」
ケーンの苦戦にスノウが叫んだ。
すぐ隣でスノウとネロが戦っていた。
「あら、よそ見しててもいいの?」
キングドラは“たつまき”を放った。
「こっちも“たつまき”よ。ハクリュー!!!」
竜巻と竜巻のぶつかり合い。
2つの渦は互いに絡み合った後、消えた。
「(威力は互角。でもこっちは水、相手はドラゴン。不利ね。)」
ネロがキングドラに何か“指示”した。
それを見たスノウは、自分も何かしなくてはならないとうろたえた。
「(一体、どんな作戦を?)」
その時、キングドラが“えんまく”を吹いた。
黒煙が辺りを埋め尽くす。
「“えんまく”?」
スノウは落ち着きを失った。
「(こんな作戦でくるんだから相手はこっちの状況を?
でもどうやって?それに・・・。)」
そのとき、誰かがスノウの手をつかんだ。
「きゃ!」
「声を出すなよ。ってかやっと見つけたぜ。」
「け、ケーん・・・。」
彼等は黒煙の中、小声で話し始めた。
「何故、あなたがここに?」
「オレが戦っているときにこの煙が巻いてきやがって・・・。」
ケーンがふぅ、とため息をついた後、続けた。
「どうする?相手は何か策が・・・。」
その時、激しい水流が近くを通過する音が聞こえた。
「策は無いようね。でも・・・。せめて相手の位置がわかれば、見えれば・・・。」
「“見える”?」
ケーンはその言葉でなにか勘付いた。
「もしかしたら勝てるかもしれない。」
「え?」
突然のケーンの言葉にスノウは驚いた。
「何する気?」
「いいか、今からオレのゴーリキーが言う方向にお前のハクリュウの最大の技を放て。」
「え?えぇ。」
ゴーリキーは目を閉じた。
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