巨大な光線が結界を造り、辺りを覆った。
そしてその結界は轟音と共に膨れ上がり、爆発した。
物凄い爆風が発生し、それは色々なものを巻き込み、吹き飛ばした。
そしてその強大な風は膨大な熱エネルギーと共に駆け抜けた。

煙が立ち込める。

「終わったな。」
ゲルマは勝利宣言ともいえる独り言を残し、立ち去った。
立ち去ろうとした。
そのとき、彼は煙の中に気配を感じた。
そして目を凝らした。

「・・・・・、タフな奴だな。」
そこにはほぼ黒焦げの状態とも言えるウェズが立っていた。
「海や湖に突き落とされ、背中を斬られ、そして氷漬けになっても向かってくる。
 故郷でもないこの島に何故ここまでやれる?」
「わからない。けど・・・。」
「けど?」
「友達が困ってる以上、オレは・・・。」
「こざかしい。バンギラス・・・。」
バンギラスはゲルマの方をチラッと見た。
「消せ。跡形もなくな。」
バンギラスは待ってましたと言わんばかりに構え、エネルギーを集めた。
「デンリュウ!!!」
ウェズの声に反応して瓦礫の下からデンリュウが現れた。
ウェズはデンリュウに小声で話しかけた。
その“作戦”にデンリュウは納得し、その場を縦横無尽に駆けた。
「どこに逃げようと同じことだ。“はかいこうせん”!!!」
「デンリュウ!!!奴の光線は大きいけど口で光線を制御できていない。だから逃げれば避けられる。」
バンギラスが光線を放った。
が、その光線は先程のよりはるかに小さかった。
そしてその光線はデンリュウを射た。
デンリュウは跳ね飛ばされ、倒れた。
「ならば光線を小さくし、確実に射れるコントロールを得ればいいだけだ。」
「・・・・・。」
バンギラスは反動で動けないが、いずれ回復し、また撃ってくる。
ウェズにはわかっていた。
つぎの攻撃が“はかいこうせん”だということを。
「みんな!!!」
ウェズは全てのボールを開放した。
「!!!6匹揃えたところで勝てるものか。」
ゲルマが言った。
「オオタチ、ツボツボ、ナッシー、スターミー、ガーディに戦闘不能のデンリュウか。
 いいだろう。望みどおりまとめてあの世に送ってやろう。」
バンギラスがまた光線を収束した。
「友のために死ぬ。それがお前の哀れな末路だ。ウェイ・ズー!」
バンギラスがエネルギーを収束し終えた。
「消え去れ。」
その時、バンギラスが放った光線は真っ直ぐウェズ達の所へ飛んできた。
その時、ウェズの手持ちはオオタチとツボツボを除いて散らばった。
「オオタチ、ツボツボ!!!“まもる”。」
オオタチとツボツボはバリアを張った。
「バカな。そんなので耐え切れると思うな。」
バリアが破れた。
それと同時にオオタチは逃げ出した。
一方、ツボツボは耐え続けている。
「!!!そうか、ツボツボの防御力は全ポケモンでトップ。
 これで防ぎきれると踏んだようだな。
 だがそれではただ時間を稼いでいるようにしか見えないが・・・。」
「・・・・・。」
「いったはずだ。所詮お前には何も成し遂げられないと。」
その時、急に日差しが強くなった。
「(急にこの日差し。“にほんばれ”か?)」
その通りだった。
ガーディの“にほんばれ”。
ゲルマは、はっとしてナッシーの方を見た。
ナッシーにたくさんの光が集まっている。
“ひかりのかべ”が強力な太陽光を反射させて、ナッシーに当てていた。
「先程のデンリュウか!ただ逃げ回っていたわけではないようだな。」
ゲルマはまずいと思ったが冷静に指示をした。
「策がわかれば防げる。バンギラス!」
バンギラスはその声に呼応し、攻撃した。
ただしナッシーがいるところとは全く違う所だった。
「違う!どこを攻撃している!ナッシーだ・・・。
 (!!他にバンギラスに攻撃を仕掛けるものが・・・。)」
ゲルマは気が付いた。
そう、その攻撃者はオオタチだった。
「バンギラス!そいつではない!お前の後ろにいるナッシーだ。」
バンギラスは振り返ろうとしたが振り返れなかった。
バンギラスの足元には氷が張り付いていた。

ツボツボが“はかいこうせん”を“こらえ”、
オオタチがバンギラスをかく乱し、
スターミーが“ふぶき”で身動きさせなくし、
ガーディが“にほんばれ”で強力な日差しを呼び込み、
デンリュウの“ひかりのかべ”でそれをナッシーに集める。
「ナッシー!!!」
ナッシーは頷いた。

“ソーラービーム”!!!

強力な光線がバンギラスとゲルマに向かう。

「私の計画・・・私の野望・・・。」
そしてその場は強い光に包まれた後、静粛になった。
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