ウェズは強い光に目を閉じていたはやがて目を開けた。
そこにはゲルマが倒れていた。
今回の一連の事件の首謀者、ゲルマの傍らに落ちてある3つの石をウェズは拾い、そしてケーンたちが来るのを待っていた。
空は相変わらず“にほんばれ”の影響で快晴だった。
その光は葉に反射され、緑色の力をもたらした。
ふと、彼は気付いた。

なぜ自分はここに来たのだろうか

ずっと考えていたが、目覚めの朝以前のことは
断片的な記憶は思い出せたが全体的な記憶は無理だった。

手紙を頼りにこの島に来たがそれは手紙に踊らされていただけではないのか

そう考えるときもあった。
そう思うとウェズは「なぜ戦うのか?」という問に決着がつけられそうに感じた。

そのとき彼は気付いた。
ゲルマの傍らに落ちているノートのようなものに。
「日記?いや、レポート?」
彼はそれを少し読んでみた。
すると興味深い文章が見られた。

4月28日
ジョウト進出基地で研究者5名逃走。
その主導者ビリー、他3名を捕獲するも1名は捕獲できず、
その研究員はウェイ・ズーと見られる。

4月29日
逃亡者の捕獲に刺客を送るも失敗。
行き先とビリーの証言からジョウトから脱出したと思われる。
         ・
         ・
         ・
5月4日 
客船襲撃によりウェイズーを再発見。
抹殺命令下す。

彼は5月4日の記事までを見て突然頭痛がした。
その瞬間、頭の中で一瞬、閃光(記憶)がはじけた。

「オレの名はビリー、よろしくな。」

この音声をゆっくり引き出す。
「お前、出身が分からないって?」
「明日、ここにいる5人で脱出する。作戦は・・・。」
「この紙を持っておけ。そこがお前の故郷だ。」

そしてくすぶっていた記憶は鮮明なものとなった。
それでもまだ自分の親のことは思い出せなかったが・・・。

「うっ・・・。」
ウェズは疲れたのか、その場で倒れこんだ―時だった。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ。」
そこにはケーンがいた。
「怪我しすぎだろ。」
ケーンが笑いながらいった。
「お前の方こそ傷だらけだ・・・ろ・・・。」
「お前ほどじゃないけどな。」
「こっちのセリフ。いててっ!」
「あ〜あ〜分かった分かった。もうとっとと帰るぞ!」
オレンジ色の夕日を見て、全て終わったんだ、そう感じた。
「終わったんだな。」
「はぁ?なんて言った?」
「いや、別に・・・。」

6月4日
午後6時24分
シャトル団首謀者、ゲルマ逮捕
同日
午後7時1分
3幹部ならびに団員全員逮捕
翌5日
午前9時17分
シャトル団全団員、カントーへ
後日、裁判が行われた。
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