何時かお返ししてやると頭で思ったレオだった。
「んっ・・・あぁ〜・・・・。」
レオはベットから立ちあがり背伸びをした。
まだ眠そうな半開きの目をゴシゴシとこすり時計を見る。
「えぇ〜っと、4時50分・・・・朝か。」
外は明るくなりかけていた。
「あ〜あ、髪の毛が撥ねてるわ・・・・。」
レオの髪はボッサボサで撥ねまくっている・・・・。
手で髪を伸ばした。
「・・・・にしたっても、整えなくてもいいんだが。」
髪はいつもボサボサで撥ねまくる、だから毎回髪を梳かしてないのだ。
「・・・・熱い。」
レオは着ていたコートを脱ぎ、黒いノースリーブの服になりパタパタと手で扇いだ。
窓の外を見た。外は明るくなりかけなのでまだ暗い。
リュウトやユウキ、皆の所を見た。
リュウトは早く眠ってしまったのに対してスヤスヤと気持ち良さそうにまだ寝てた。
「・・・・詰らん。」
まだ、朝方明けだもんで歩いている人影の気配がしなかった。
レオは窓の近くのソファに座った。
窓の外はアクア・オーシャンの様な淡い光がまぎれも無く差し込んでくる。
「4時54分・・・まだ5時すら行ってない・・・・。」
詰んないもんでソファに横たわり目を瞑った。
「はぁ〜・・・楽しくないな。」
うつ伏せになりレオはぼ〜っとしていた。
タタタタタタタタタッ
静かな小さい足音がレオが横になっているソファに向かってくる。
体中に黄色い輪が月光色に光っていた。
「ブラァ〜。」
そう、レオのブラッキー・・・ムーンだった。
『ご主人〜。』
レオの返事が無かった。ムーンは頬をプク〜・・・・と膨らませていた。
『ご主人〜、起きてくださ〜い・・・てか、起きてます〜??』
しつこく返事したが、起きなかった。う〜ん・・・う〜ん・・・と考えた結果・・・。
『噛んじゃえ。』
とんでもない答えだ。でも返事が無い時にはいつもやるらしい・・・。
ムーンは体制を整えてレオの指を睨んだ。
『それではいきまs・・・・。』
『レ〜オ〜?』
皆が寝ている部屋から赤い体に蒼い三角の模様があるポケモンが部屋から除いていた。
どうやらモンスターボールから出てきたようだ。まだ寝むそうに目をゴシゴシと擦っている。
『あ、リフィール。』
夢幻ポケモン、ラティアス・リフィール登場。
リフィールは不思議なポケモンで右目は蒼い瞳で、左は黄色のドットアイの持ち主だった。
『ふぁ〜・・・・。』
口から大きなあくびが出てきた。
『眠そうだな、リフィール。』
『瞑想しながら寝てたら、ムーンがレオの指を噛む所が頭に過ぎったんだもん・・・・・ファ・・・。』
『ばれてた?』
浮遊していたリフィールの体はゆっくりと床に降りてくる。
レオが寝ているソファの隣にあるもう一つのソファに着地した。
『う〜ん・・・・ムニュムニュ・・・。』
目が半開きのまま、リフィールは寝ぼけている。
ソファに着地したリフィールはモゾモゾと寝返りを打つ。
『・・・・ったく、ほら起きろ。』
『眠いからいや〜・・・。』
『兄貴に言っちゃうぞ。』
ムーンの兄貴≠フ一言でリフィールは飛び上がった。
『ムーン!それだけは止めて!!』
リフィールいわく、ラティアスはイタズラをするのが好きだ。
だから、イタズラをすると真っ先に兄に怒られる。
『兄貴だけは逆らえないんだな。』
『えへへ・・・お兄ちゃんは好きだけど、怒られるのはちょっと・・・・ね。』
困り顔で話すリフィール。クスッ・・・と笑うムーン。
『だったら、イタズラしなければいいじゃん。』
『あそれは無理。』
片言で喋るリフィールにムーンは『なんで棒読みなんだ・・・・?』と頭の中で思った。
フワリと浮かぶリフィールの体は、上へ上へと舞い上がる。
気ずいた時にはもう朝日が昇っていた。薄い水色の光がムーンやリフィール、レオを包み込む。
『もう・・・朝か。』
『時間って気付くともう、過ぎていくのね。』
『鬼灯・・・。』
ミロカロスの鬼灯とエーフィのサンが起きてきた。
鬼灯はユウキのミロカロス、ウィングの妹だ。レオはユウキからタマゴと受け取りその場から産まれたのだ。
『おはよう、早いのね。』
『鬼灯も早いね。』
『二人とも、何やってたの?』
サンが聞くとムーンとリフィールはうつ伏せになっているレオを見た。
それを見た二匹は『あぁ・・・。』と頷いた。
鬼灯とリフィールはレオに近づいた。
『レオ〜、起きて〜。』
『レオさん、もう朝ですよ。』
揺すっても返事が無かった。それを見たムーンは怒って、ソファから垂れ下がっているレオの腕や指に噛み付いた。
『ちょ・・・何やってるの!ムーン!!』
『噛み付いてやってんだ!!起きろレオ!!』
ムーンは起きるように強く噛み付いた。
ガジガジガジガジガジ・・・・・。
噛み付いている事が解かったレオは、顔をムーンの所に向け金色に光る瞳は死んだ様な色をしていた。
「ムーン・・・痛いよ・・・・。」
四匹はビックリした。レオの指を銜えていたムーンはダランと落とす。
こんな日は無かった。この頃のレオはとっても変な感じだった・・・。
『レオ・・・・・。』
「ん・・・・・何?」
『今日のレオなんか変だよ・・・・。』
レオはソファで横になっていた体を持ち上げ座った。
「何言ってんの?いつも通りだよ・・・。」
顔は笑っているけれど、心の中は笑っていなかった。
呆然と外を見るレオの瞳はとても暗かった・・・・。
『ねぇ、なんかあったの?何時ものレオじゃないもん。』
笑っていた顔は段々と悲しい顔になっていく。光が消え闇の色に染まる・・・・。
レオは体育座りをしながら顔を伏せる・・・・。
「俺は・・・・なんで怖がっているのかな・・・・・・。」
『『え・・・・・・?』』
数分後黙ったレオの口からボソッと呟いた。
「何だか皆と居ると嫌な感じがするんだ・・・。」
『レオ・・・・。』
鬼灯は目を瞑り自分がまだヒンバスの頃を思い出していた。
レオと初めて会った日、自分の事を強く美しいと言ってくれた事、そして・・・・あの嬉しい言葉を言ってくれた事・・・・。
ヒンバス、俺の名前はレオって言うんだ。
ヒン?
名前無いとな。う〜ん、そうだな・・・・・・・お前の名前は鬼灯だ!
ヒ〜ンッ!!
コイツは弱いと思うけど、強い意志を持った美しく強いポケモンだ!!
ヒン・・・・。
鬼灯を馬鹿にする奴は許さない!!
ヒ〜ン・・・・。
ミロカロスに進化したのか・・・・・。お前の心の美しさで進化したんだな。
ミロ〜。
ミロ・・・・・いや、鬼灯これからもよろしくな。お前の美しさをもっと俺に見さしてくれ!!
ミロカ――――!!
『・・・・・・。』
初めて会い名前をくれた事、敵から自分を守ってくれた事、自分の心の美しさで進化したと決め付けて連れた事・・・・。
その時はとっても嬉しかった。
でも、それは過去の話・・・・。昔のレオはもう居ない・・・・・・。
闇の中に居るレオを元気付ける。
『レオ、貴方はもう一人じゃないのよ。怖いことがあったら私達に話して、力になれるかもしれないから・・・・。』
「鬼灯・・・・御免な、こんな主人で・・・・・。」
レオは鬼灯の頭を撫でる。それと同時に鬼灯はレオの頬に擦り寄って来た。
『お願い、何時ものレオに戻って・・・?』
鬼灯の顔に抱きつきレオは泣いていた・・・・・。
「ご・・・ん・・・、ごめ・・・ん・・・・ね、ごめんね・・・・御免ね。」
皆はその日はとっても苦しかった。助けての声が聞こえてくる、心の中から叫んでいる。
風の囁きは哀しかった。心の底が黒く渦巻く感じがした。
何所からも無くペチペチと誰らかの足音二個も聞こえてくる。
レオの足元に両手に薔薇の花が付いており緑色をしたポケモン、ロゼリアが立っていた。
「この子は・・・・?」
「そんな所で何やってるんだよ。」
「ユウキ・・・・。」
後ろを振り向くとユウキが立っていた。どうやらこのロゼリアはユウキの手持ち、サクラだった。
ユウキはレオの隣に座りよいしょっととソファに腰を下ろした。
レオは体ごと左に向いていた。
「もう、朝だな。」
「そうだね。」
「時間って早いなぁ。」
「だね・・・・。」
話が成立しない・・・・。チラッとユウキはレオを見るとはぁ、とため息を付く。
「レオ・・・・・。」
「ん・・・・何?」
レオは名前を呼ばれたからユウキの方へ向いたらユウキが擽って来た。
「コチョコチョコチョコチョコチョコチョコ!!」
「え!・・・・ちょっ、まっ・・・・ひゃははははははははははははは!!」
突然の擽りでレオは笑い出した。
それを見ていたムーン達はあ然としていた。
「オリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャ!!」
「ほんと・・・マジやめ・・・・・あはははははははははははははは!!」
擽り回すユウキに対してレオは暴れはっちょしていた。
それは数分続きレオは、ヒィーヒィーと苦しそうに横になりながら息を吐いていた。
ムーン達は此処はユウキに任せようと自分の寝ていた部屋に戻っていく。
誰も居なくなったとユウキは思い辺りをくまなく見回した。
レオは仰向けにされ、突然唇を塞がれた。
「ふ、んぐぅ・・!!」
意味が分からない行為にレオの頭は混乱していた。
息が出来なくて必死に口元から手を外そうとしたが、力が強く外せなかった。
ユウキはレオの顔に近付く。
「っむ、ぐふぅ!!」
「お前、何かあったのか?」
「・・・・・!!」
レオは昔の事を思い出し頭に過ぎってしまった。
――此処は何所。お父さんと、お母さんは?
――此処は実験場。お前の親は俺らが殺した。
――な・・・んで。
――お前を最初ッから渡さなかったからムカついたんだ!!
――なんで・・!!うそ・・・だ。いや・・・いやあああああああああああああああ!!
「な・・・・て。」
「レオ・・・?」
「はな・・・して・・・・はなして、離して!!」
レオは体から悪意に満ちたオーラを体全体で放った。
「うわああああああああああああああああああああああああ!!」
叫ぶと同時にユウキを突き倒した。
「いって・・・!!」
ユウキは起き上がってレオを見ると、蹲って震えて大粒の涙を流して泣いていた。
(コイツの過去はいったい何があったんだ・・・!?)
ユウキは昔レオにいったい何があったのか気になった。
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