レオの過去にいったい何があったのか気になったユウキ・・・・・。
ソファの上で震えているレオは、涙を流して泣いていた。ユウキは床から立ち上がり近付こうとした。
「レオ、どうしたんだよ・・・!?」
「嫌だ・・・・来るな!!」
後ずさりをして逃げようとするが動けなかった。
過去の恐怖を恐れて、金縛りの様に体が動かない。ただ涙がポツポツと落ちるだけ・・・・。
心臓が潰されそうになった。ユウキはため息を吐きレオに近付いた。
手首を掴まられ、ソファに身体を打ち付けられると上からユウキが覆い被さってきた。
「っあぁ・・・・!!」
ユウキにつかまれた手首を振り落とそうと必死で振り外そうとした。
「嫌だ!!離して!!」
「レオ落ち着け!!」
手首を掴んでいるだけでも震えている事が解かる。
何も考えないレオなので不思議な感じがした。余りにも考えられない光景だったから・・・・。
「うわああああああああああああああああ!!」
「落ち着けレオ!!何も考えるな!抱え込むな!!」
「・・・・・・!!」
暴れていた身体は止まった。
何も無かった様に時間が過ぎる・・・・・。二人は、はぁはぁと苦しそうに息をしていた。
「レオ・・・・何も抱え込まなくていい、何も・・・・・考えるな。」
ユウキは倒れていたレオの手を引っ張って座らせた。薄っすらと顔に涙の後が見える。
「考え事が有るなら俺らに言ってみろ。」
「ユウキ・・・・・うぅ、うわあああああああああああああああああ!!」
レオはユウキに抱きつき泣いた。落ち着いたのか震えは安らかになっていた。
だがユウキの服をギュゥっと掴んでいるからまだ怖がっているのが解かる。
「お前・・・・過去に何かあったのか?」
レオは過去の事を話した。小さい頃に何かをあったことを・・・・・。
「いつの間にか辺りは血の海で、俺は血だらけになりながら刀を持って立っていた・・・・・。たったの一瞬だったが誰かの叫び声が聞こえた、『助けて・・・・』と。」
「そうか・・・・お前の過去にそんなことがあったのか。」
「怖かった・・・・・寂しかった。」
服をギュウゥっと握り体の振るえを止めていた。少しだが震えは止まって来た。
「そうか・・・・・・良し、風呂入ろう。」
「え・・・・!?」
何を言うかと思えば風呂だと・・・・・。
でもそれは、最も心を落ち着かせるためのユウキの作戦だった。・・・っといってもユウキはただ風呂に入りたいだけだった。
行き成りの言葉にレオはビックリしていた。
「朝シャンはとっても気持ちいいのだ、だから入るのだ。」
朝シャンとは朝にするシャンプーと言う事だ。ユウキはそれを楽しみにいるんです。
「ちょ・・・・ちょっと!!」
「支度して風呂場まで待ってて欲しいのだ。」
そういって何所かに行ってしまった。
この時間だと受付の人が起きていて、仕事をしているからと思って言いにいった。
「ユウキ・・・・・・・有難う。」
レオの顔は嬉しそうな顔をしていたが心の中はもっととっても嬉しかった。
自分の部屋に戻って支度をしていた。
「これでいいかな。」
バックの中からタオルを出した。くるっと出入り口に行こうとした時立ち止まった、
「起きてるんでしょ?嘘寝入りは俺には効かないよ。」
そういって風呂場に向かった。
レオが行ったのを確認してファイアやハルカ達が起きてきた。
「ばれてたか・・・・。」
「やっぱりレオには嘘寝入りは効かないね。」
「んで、どうする?俺らも風呂入りにいく??」
「ばれたんだからしょうがない、行きますか。」
「それでは、レッツ・ゴー!!」
ベットからお降りて、準備をするハルカ達。それとノリノリのリュウトだった。
〜 ポケモンセンター・地下一階の風呂場 〜
「さぁ、お風呂だお風呂だぁ〜。」
「ちょっと!!そんなに引っ張らないでよ!!」
ユウキはウキウキしてレオの腕を引っ張った。ユウキは「楽しく入るのだ〜。」と言っていた。
二人は着替え、レオは黒いノースリーブの服を脱いで目から金色のコンタクトレンズを取った。
「レオ・・・・その目と胸の傷それにそのペンダントは・・・・・。」
レオの胸には、大きな傷跡と小さな蒼い石が付いたペンダント、左目は赤い瞳だった。
「あぁ、これは昔の思い出でね。思い出したくないのに思い出してしまうんだ・・・・。」
レオは苦笑いの顔をユウキに見せた。
レオの方がきついのに、ユウキの方が胸が苦しくなってきた。昔に悲しいことがあったのかと考えていた。
「そっか・・・・。」とユウキは悲しそうに返事を返した。
「でも、目の事は何時かばれるんだろうと初めから思ってたけどさ・・・・・。」
「気にしない方がいいのだ、今の楽しい思い出を作るのさ。」
レオは「そうだな。」と頷いて風呂に向かった。
レオとユウキは風呂に肩まで浸かりノホホ〜ンっとしていた。
「ふい〜・・・・気持ちいねぇ〜。」
「ユウキ・・・・・・親父臭い。」
カポーン・・・・っと何かの音がしのんびりとお風呂に使っているユウキに対してレオは恥ずかしそうに入っている。
間の幅は数メートル離れ離れで入っていた。
レオは髪の毛がお湯につかないように髪止めピンで止めていた。
「レオ、何か女みたいな事するんだね。」
「うっさい!!」
レオは熱いお湯をユウキにかけた。ユウキはアチチッと悲鳴をあげて騒いでいた。
水が溜まった風呂桶に顔を突っ込むと、その風呂桶からジュゥゥゥゥゥ・・・っと、冷めた音がした。
「ったく・・・・ところでそのペンダントは何レオ?」
「ん?あぁこれね、これは父と母の形見のペンダントさ・・・・。」
レオの胸の所で蒼い石が光っていた。深海の海よりも深い色で・・・・・。
二人は大きな月を見て、皆と初めて会ったことや初めの手持ちは何だったのかとか色んな話をした。
薄青い空にほんわかと浮かぶ月の光は淡い色で光って、二人を照らし続けた。
「綺麗な月だな・・・・。」
「俺のムーンはこういう月が好きなんだ。」
「あ、俺のアスカも!!」
顔を見合せ笑った。二人が持っているブラッキーは淡い色で黄色い月が大好きなのだ。
「しっかし、レオと久し振りに風呂に入った気がするなぁ〜。」
「でも俺、お前と初めて入った気がs・・・・。」
ガララ・・・・っと、後ろのドアから音が聞こえた。ゾロゾロとファイア達が入ってくる。
特にリュウトはニコニコと笑っていた。
「ちぃ〜っす!!」
「あ、皆が入ってきたよ。」
一人ずつ風呂に浸かってくる。特に緩いファイアはオッサンぽく、はぁ〜・・・・っとため息を吹いていた。
ザバァァッとレオが風呂からあがっていった。それに気ずいたユウキは、「どうしたの?」とレオに聞いた。
「ちょっと熱くなったから出るわ。」
「あら、そう・・・・・。」
風呂から上がり着替えに行った・・・・・。ちょっと不安になったコウキとファイアはユウキに聞いた。
「なんか、今日のレオも変じゃない?」
「何でなんだ、ユウキ!!」
「攻めるな!!・・・・・しょうがないなぁ〜。」
ユウキはレオから聞いたことを全部二人に話した。小さい頃に何かあった話など・・・・。
「・・・・そうなんだ。」
「だからいつも悲しそうな顔をしてるんだ・・・・。」
「なんだか、悲しいな・・・・。」
〜 海辺・砂浜の近くの森 〜
砂浜で歩いているレオは海を見て立ち止まった。
「はぁ、風呂気持ちよかったな。・・・・・・・・さてと、出てきな、もうばれてるんだよ。」
木陰に大人のような影が見えた。身長は大体182センチメートルぐらいの大きさで、フード付き黒いマントを着ている。
「お前は誰だ?俺になんか用なのか?」
その男はクククッ・・・・と笑いレオを睨んだ。
「お前を欲しがっている人が居るんでね・・・。」
「別に俺は要らないけど・・・。」
「お前を連れて行かないと此方が怒られるんでね!!行け、マルマインとテッカニン!!」
男はマルマインとテッカニンを繰り出した。レオはため息を吐きながらサンとムーンを繰り出す。
「チッ・・・行け!サン、ムーン!!」
二人が投げたモンスターボールからポケモンが飛び出してきた。
その頃風呂から上がってきたファイア達はレオがいない事を知り辺りを見回した。
「リュウト〜、そっちにいたぁ〜?」
「いないよ、ファイアは?」
「コッチもだよ、ユウキやハルカ達の方はどうだろう?」
その時とてつもなくドカーンと大きな音が遠くの方から聞こえてきた。
「な・・・なんだ!?」
「皆――!!大変だぁ―――――!!」
海辺からユウキがはぁはぁと息をしながらリュウト達の方にちか近いてくる。
皆は走って来るユウキの所に集まってきた。
「ユウキ、どうしたの!?」
「向こうから・・・・黒い・・・煙が・・・上がってき・・・・・てる。」
ユウキは息苦しそうに息をしている。リュウトはロゼリアを出し、アロマセラピー≠ナ体を楽にさせた。
「有難う、リュウト。」
「浜辺から黒い煙が上がっているってどういう事!?」
「一度行ってみたら解かるかも知れない。」
煙が上がっている浜辺に向かった。
(レオ・・・・お前は何所に行ったんだ!!無事にいてくれ!!!)
皆が走ってくると浜辺の方からエーフィとブラッキーが走ってきてその場に倒れた。
レオのサンとムーンは前髪があり、左右に別れている。そのエーフィとブラッキーにも前髪があり別れている。
「このエーフィとブラッキーって・・・まさかレオの!?」
サンとムーンと言う事が解かったリュウト達は傷だらけの体を治してあげた。
『助け・・・・て。』
『ご主人様・・・・・・が、危ない・・・・。』
皆は顔を見合わせた。心の底から嫌な予感がする・・・・・・。唾を飲み込み、急いで走ってった。
とても怖かった、仲間、レオがいない今は嫌な予感が的中してしまう。
数分走ると海辺に出り、辺りを見回した。黒い煙がまだ上がっており、地面には大きな焦げた丸い底が開いていた。
その近くに黒いマントを着た男とボロボロになりながら横たわっているレオの姿があった・・・・・。
皆の予想が的中してしまった。心臓が握り潰されそうになった・・・。
「レオ、レオ!!・・・・テメェレオに何をした!!」
「ククク・・・・。コイツはお前らの友達か?な〜んもしてらんよ。」
「嘘だ!!じゃぁ、なんでレオがボロボロなんだ!!!」
答えを求めるユウキ達に男は困った顔でフゥ・・・・・っとため息をついた。
「しょうがないねぇ〜、教えてやるよ。こいつを欲しがっている人がいるんでね!!」
皆は「何だと!!」と言い、睨み付けた。男の考えを見切ったサンは叫んだ。
『皆逃げて!!』
しかし遅かった、男の手からモンスターボールが落ち、落ちた瞬時に黒い光が現れた。
「行って来い、ダークライ!!」
その黒い光の中からシンオウ地方幻ポケモンのダークライが出てきた。
その時、リュウトが付けているオーラサーチャーが反応した。
「え・・・・?嘘・・・・・そんな!!。」
「ダークライ、ダーク・ストーム!!」
ダークライは手を重ねると大きな漆黒の竜巻が出てきた。吸引の強さは圧倒で、リュウト以外のユウキ達は飛ばされた。
「「「うわあああああああああああああああ!!」」」
「ユウキ、皆ぁ!!!」
行き酔い良く、叩きつけられたユウキ達は木などにぶつかった反動で口から血を吐いた。
「がはぁ!!」
リュウトは怖くなった。いるはずも無いダークポケモンが何故か此処、アイレス地方にいるから・・・・。
「おや、まだ無事の子がいますねぇ。」
「あ・・・・・あぁ・・・・・。」
リュウトは怖がって、ただ、ただ、小さな声でしか叫ぶしかなかった。
(殺される・・・・・、お父さんみたいに殺される・・・・いや・・・いやぁぁぁぁ!!)
「可哀想な子だねぇ、苦しまないように楽にしてあげますね。ダークライ、シャドーボーr・・・・。」
「フルゥゥゥァァァァァァァァァ!!」
「キルゥゥゥァァァァァァァァァ!!」
森の草むらからリュウトのキルリアのアルテニスとレオのフラワラのスーラが飛び出してきた。
飛び出した勢いでアルテニスは冷凍パンチ、スーラは水の波動を男とダークライに繰り出した。
「チッ・・・・!!」
『グヌゥ・・・・!!』
「アルテニス、スーラ!!」
アルテニスとスーラが立ち向かったことで、リュウトは我に返った。
スーラの技、水の波動が決まったのか、ダークライはヨタヨタとよろける。どうやら混乱してしまった様だ。
『リュウト、今だよ!仲間の所に!!』
「クソッ!!ダークライ、お前も何やってるんだ!!」
男は混乱しているダークライを蹴り付けた。ダークライは蹴られた衝撃でよろめいた。
それを見ていたリュウトそれに、スーラとアルテニスは許さなかった。
「何をするんだ!!ポケモンだって頑張って生きてるんだよ!!」
『許さない、レオさんや、仲間・・・それにダークライをダークポケモンにされ・・・・、嫌な扱いをされるんなんて!!』
「コイツラはただの道具さ、好き勝手にさせりゃぁ、いいだろうが!!」
その言葉を聞いたスーラは後退りをし始めた。
「スーラ、どうしたの!?」
―――― 嫌だ・・・・。怖い・・・。 ――――
スーラは震えていた。大きく、切ない日の思い出・・・・・。
切ない思い出の中には、前の親トレーナーがいなくなった事が頭に過ぎってくる・・・・。
血まみれの中の自分・・・・。レオも同じ事を言っていた。
一人で居るのが怖かった、誰も主人を助けてはくれなかった・・・・。
死んでしまったご主人をただ、ただ見ているしかなかった。泣きたかった。怨みたかった・・・・。
「フラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
その時、叫んだ瞬間スーラの頭にあるつぼみの葉っぱが開くと、体が光り始めた。
「な・・・・・なんだ!?」
つぼみが大きく膨らみ、体が大きくなっていく・・・・。
葉っぱの毛が生え、目元に紫色の模様が浮かび上がりダンサーのようなポケモンに進化した。
「スーラが・・・・進化した!?」
ピコンッとリュウトが持っていたP★DAが突然反応し始めた。持って見てみると、画面には『アルラグネ』と写っていた。
頭の花からはスパイシーの様な匂いがただよってきて周辺のポケモンやユウキ達が元気を取り戻した。
「アルラグネ・・・・。」
アルラグネ、草花ポケモン。
頭にある花から甘い香りが漂ってくる。
甘い匂いを嗅いだ仲間は、
みるみるうちに元気を取り戻すという。
「クソッ!!とんでもないポケモンに進化させてしまった!!」
男はスーラが進化した事で混乱していた。
『残念だったわね。夜の日だったら良かったのにね。』
スーラの腰から伸びた細草がフワリ、フワリと弾んでいる。閉じた目を開け、チラッと後ろで倒れていたレオを見る。
はぁ、とため息を吐くと男をギラッと睨み付けた。
『あんた達なんか許さない!!アルテニス!!』
『は、はい!!』
スーラはレオがボロボロにされた事で怒っていた。なので、怒り声で呼ばれたから、アルテニスは怖がっていた。
スーラの体からドス黒いオーラが出ていた。怒りのオーラと言っときましょうか。
『アルテニス、皆、私のサポートお願い聞いてくれる?』
『ええ、もちろんよ!!』
「レオをこんな風にさせたのに見てるだけではムカついてくる!!」
スーラは嬉しそうに笑った。潮風が海から吹いてくる。
『有難う、皆・・・・。』
スーラ・アルテニス・皆とダークライとのバトルが始まった。
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