遠くの砂浜から何かが激突する音が聞こえてくる・・・・・。




『ハアアアアアアアアアアアアア!!』
『ウラアアアアアアアアアアアア!!』


ドガアアアア!!・・・・とスーラとダークライの拳がぶつかり合う。
二匹とも隙を譲らない素早さで、互角な戦いで体力を削らしていく・・・・。
苦しそうに息をするのか、力が無くなってきて、素早さも遅くなってきた。
「サクラ、アロマセラピー=I!」
ユウキのロゼリアのサクラは両腕の花を上げ、
クロスした瞬間花束からリフレッシュさせるような臭いが漂って来た。
すると、息切れのはずのスーラは段々と和やかの顔になってきた。
「くそっ!」
マントの男は邪魔だという目でサクラを睨みつけた。
サクラは一瞬恐れた顔をしたが、直に振り返り男に睨み返した。
いつの間に砂浜の周辺には人が集まっており、此方の戦いをみていた・・・。
「んぅ・・・・あぁ・・・・。」
何かを感じたのか、レオは目を覚ました。
辺りを見回すと誰かがダークライと戦っている様子が目に飛び込んできた。
リュウトのキルリアのアルテニス、ユウキのロゼリアのサクラ・・・・それと、緑色の体のポケモン。
ギシギシと鈍る音がする体を起こして立とうとした。
「ぐっ・・・・・!」
「レオ・・・!!」
痛みでよろけた身体は、その場に倒れこんだ。
マントの男が使った、マルマインの大爆発での衝撃は大きく、身体が動けないほどだ。
リュウトはレオのそばによると身体を支えた。
「リュウ・・・・と?」
「レオさん、助けに来ましたよ・・・・。」
レオは少しビックリした顔でリュウトやユウキ達を見ると、ユウキ達はレオの方向を見ていた。
ニコッと笑いマントの男方面を向くと、ユウキはミロカロスを繰り出した。
「行け!ウィング!!」
ウィングと名のミロカロス。レオのミロカロスの鬼灯の姉だ。
ウィングの目は仲間を守る綺麗な輝きをしていた。
「ハイドロポンプ=I!」
ユウキの下した命令を聞くと、口から大量の水をダークライに発射した。
『スーラ、アルテニス、避けて!』
(スーラ・・・・!!)
スーラと聞くと、レオはアルテニスとウィングと一緒に戦っている緑色をしたポケモンを見た。
レオは一瞬考え込むと、息を吐き、スーラの方向を見た。そして・・・・。
「スーラ、水の波動=I!」
レオが命令を下し、スーラは両手を前にだすと、水色の球体をダークライとマントの男に発射した。
「そんな技、避けてくれ・・・・・何!?」
マントの男とダークライは避けなかった・・・・いや、避けられなかった。
遠い方角から二匹のエーフィ・・・・サンとアクアがサイコキネシス≠仕掛けていた。
水の波動はマントの男とダークライに見事命中した。
「うぐぁ・・・・!!」
直撃したのか、混乱になっていた。混乱状態になったのを確かめたレオは、マントの男の方向へ走っていった。
レオが此方に向かっている事に気づいた男は、混乱を我慢して手を伸ばしてきた。
少し休んだのかレオはちょっと調子が良かったから、男の手を避けると背中に回りこんだ。
そして、男の背中を蹴ると、男は「がっ・・!」・・・と声をだすと、前に倒れそうになった。
レオは男の腰を掴み、股を広げて膝をカクンッと下げた。
「おんどりゃああああああああああ!!!」
叫ぶように声を出すと、男を後ろに激しく突き落とした。レオの秘奥義【バックドロップ】・・・・・。
秘奥義だから初めて見る人達はもちろん、ずっと一緒にいたユウキ達さえも初めて見る。
ゆっくりと起き上がると、レオは背伸びをした。
「レオ・・・・お前、怖い。」
「久しぶりにやったからなぁ・・・あぁ、怖かった。」
「絶対にそう、思ってないだろ・・・・・。」
笑った顔で「ばれた?」といった。
浜辺の周辺にいた人達は、ワァァァァァァ!!っと騒いでいた。きっと、あのマントの男を倒したからだろう。
レオは、ユウキ達に近づこうとした時だった・・・・・。

ズガアアアアアアアアアアアアアン!!

「キャアアア!!」
大きな音を立てながら雷はマントの男の近くに落ちてきた。
「な・・・・なんだ!!」
そう言うと、煙が上がっているところを見た瞬間・・・・・・・・・。
「うわぁァァァァ!!」
レオの悲鳴が聞こえた。
「レオ・・・・!!」
レオの所を振り向くと、レオを捕らえているもう一人のマントの男・・・・。
その男はレオの耳元で囁いた。
「久しいな、レオ・・・・・・・クラーチェス。」
「!!・・・・お前は!!」
男は、レオの腕を放すと、手をレオの背中に触った瞬間不思議な音波の波動をぶっ放した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・!!!!」
不思議な波動はレオの身体を通っていった・・・・・・。
男はレオの背中から手を離すと、レオはその場に倒れこんだ・・・・。
「レオ・・・・!!」
男はもう一人の男を担ぐとこうユウキ達にいった。
「我名はクオウ!グレイズ団のボス!また、何処かで会おうぞ!!」
笑いながら男達は、闇の狭間に消えていった・・・・・・。
一瞬にして、沈黙になった・・・・。
「何だったんだいったい・・・・・・・・・。」
『グレ・・・・・イ・・ズ・・・団・・・・。』
はっとして何かを思い出すと、向こうから、レオを抱いたダークライが此方に向かってきた。
「お前は・・・・レオをどうする気だ!!」
ユウキが訊ねると、ダークライはレオを下ろし、砂浜に寝かせて何歩か下がった。
『始まりの時間は終わりの時間・・・・・。』
「何言ってるんだ、コイツは・・・・?」
「そんな事より、早くレオを・・・・・!!」
ユウキはそうだっ・・・と思い出し、レオの腕を肩に掛け立ち上がろうとしたが・・・・・・。
「お・・・・重い。」
すぐさまダウン・・・・・。
すると、砂浜の周辺で見ていた一人の男が此方に近づいてきた。
「君達、この子運ぶの手伝ってやるよ!」
「あ・・・・有難う御座います!!」
男はレオを抱くと、ユウキ達を連れていこうとし、ダークライはその場を立ち去ろうとした時、
ダークライの手を何かに握られた感じがしたので見てみると、レオがダークライの手を掴んでいた。
「レ・・・・オ?」
『お主・・・・・・。』
(いか    な       いで ・・・・・。    )
「・・・・・!!」
『お前・・・・・・!』
(いかないで・・・・、一人にしないで・・・・・・!!)
「レオ・・・・・?」
リュウト達は不思議に思った。何故声を出さないのかユウキはレオをみて考えていた。
レオの口がパクパクと開いたり閉じたりするだけで、声を出さなかった。
「レオ・・・・・・・。」
ユウキはボソッと言葉に出すと、
(ユウキ、御免ね・・・・声失っちゃった・・・・。)
「レオ・・・・嘘だろ・・・・・お前・・・・・・・!!」
ニコッとレオは苦笑いをして誤魔化そうとしていた。ユウキは信じなかったレオが声を出さない事が・・・・・。
いや、声を出せない事が・・・・・・・。








何故ならレオは声を失ったから・・・・・・。
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