「(イクジス、アルトマーレ上空に着きましたよ。)」
エアームドにこういわれてオレは、下を眺めてみる。
するとそこには、世界で一番美しいと言われる水の都アルトマーレが
眼前に広がっていた。
「(何所に下ります?)」
このエアームドの質問にオレは、こう答えた。
「ポケセンの前に頼む。」
「(了解。)」
この言葉と同時に、エアームドは、アルトマーレにあるポケモンセンター
を探し始めた。
程なくして、目的の着陸場所が見つかる。
「(ポケモンセンターを発見しました。これより着陸します。)」
こう言うと、エアームドは、高度を下げて、ポケセンの前に着陸した。
「サンキュー、エアームド。」
オレは、礼を言うと共にエアームドの背中から飛び降りた。
「(用があるときは、いつでも呼び出してください。)」
この台詞と共に
エアームドが、オレの腰に付けているボールの中に戻っていった。
「さてと、ラティアスに会いに秘密の庭に行きますか。」
こうしてオレは、秘密の庭に向かって歩き出した。
           十分後
「迷った・・・・・・」
オレは、見知らぬ場所に立っていた。
「(だからオレが、言っただろう、初めからカノンに連絡を取って
案内してもらえば良かったんだ。)」
パルシェンが、ボールの中からオレに文句を言ってくる。
「何言ってんだ、それじゃラティアスやカノンたちを
驚かせられないだろうが。」
そう、オレがカノンたちにあらかじめ連絡もなしに自力で秘密の庭に
行こうとしたのには、こういう訳が在ったのだ。
「(あのな〜、それで迷って着けなかったら元も子もないだろうが)」
確かにパルシェンの言うとおりだった。
「ポケギアのGPS機能で、何とか成ると思ったんだけどな〜。」
いくら複雑な町でも改造されたオレのポケギアのGPS機能を使えば
道に迷うことなんて無いはずなのだが。
「(前にもそのミスしなかったか。)」
ぐっ、痛いところを
確かにパルシェンの言うとおり前にこの町でポケギアのGPS機能を使おうと
したときも、今と同じように画面に何にも表示されない
常態になっていたのだった。
「今回は、前回よりも強力に改造してもらってんのにな〜。」
前回町に来たときよりも電波の受信機能が強力になっているのに
この有様である。
「(さすがは、要塞都市と、言ったところか。)」
パルシェンの言葉どおり、
この町は、どんな敵からも町を守ったといわれている装置が大聖堂に
置かれているのであった。
おまけに町の通路は、何所も同じような感じで、町全体が迷路のように
成っていた。
おそらく、電波が届きにくいのも敵に通信されないためであっただろうが
敵のいない今となっては、邪魔者でしかなかった。
「(どうするんだ。)」
パルシェンがこうオレに問いかけてきたとき通路の向こうで、
にぎやかな声が聞こえてきた。
「なんかやってるみたいだな、行って見るか。」
オレは、声が聞こえる方に向かって歩き出した。
「(おい、そんなことより秘密の庭に行く方法を考えろよ。)」
パルシェンが少し口調を強めて言う。
「いいじゃないか少しくらい。」
そうこう言っている間に、にぎやかな声の発生源にたどり着く。
そこでは、ポケモンバトルが行われていた。
「さあ、オレのカイリキーに挑戦する奴はいないか。」
沢山の群集が取り囲む中で
一人のポケモントレーナーが対戦者を募集していた。
「ここに居るぜ。」
オレは、この台詞と共に群集の上を跳び越し相手の前に着地する。
このオレの登場で群集がざわめきその中の一人がオレに話し掛けてきた。
「おい、あんた止めといた方がいいぞ、相手は、ジョウトリーグ
10位の実力者だぞ。」
この言葉を聴いていたカイリキーのトレーナーが続けざまに言う。
「そいつの言うとうり止めといた方がいいぜお譲ちゃん。」
(人の実力を見かけで判断するとは、愚かな奴だ。)
オレは、心の中でこう呟いていた。
「パルシェン頼む。」
こういってオレは、パルシェンの入っているボールを手に取り投げる。
ボールが開き中からパルシェンが現れる。
「(これが終わったらちゃんと秘密の庭にいく方法を考えろよ。)」
パルシェンが少しうんざりした口調で言う。
「了解。でもいいじゃねえか久しぶりにバトルが出来るんだから。」
このオレの答えにパルシェンは、こう答える。
「(確かに、久しぶりにバトルができるな。)」
パルシェンはうれしそうに答える。
「さて、とっとと始めようぜ。」
オレとパルシェンは、臨戦態勢に入る。
「いいぜ、お譲ちゃん。」
この言葉の後に呆れたような口調で男が言う。
「しかし、よりによって氷タイプのポケモンを出すとな
格闘タイプが、弱点と言うことを知らないのか?」
とことん人を小馬鹿にしたようなことを言う奴だ。
「お前こそ、格闘タイプのポケモンで勝てると思っているのか。」
この言葉に男は、カチンんと来たのか
「おもしれー、行けカイリキークロスチョップだ。」
この言葉と共にバトルが始まった。
「パルシェン、殻を閉じる。」
「(了解した。)」
パルシェンの前に駆け寄り両腕をクロスさせて、
クロスチョップを放つカイリキー
ガキィィィィィィィィン
だが、その攻撃は、パルシェンの殻によって阻まれる。
「ばっ、馬鹿な氷タイプには効果抜群なはずなのに受け付けていないだと。」
カイリキーのトレーナーは、相当驚いているようだった。
まあ無理もないだろう。
なにせ、効果抜群のはずの氷タイプに
まったくダメージを与えられなかったのだから。
「パルシェン、冷凍ビームだ。」
敵が止まっているこのチャンスを逃さずオレは、パルシェンに攻撃を合図する
ガチャン
パルシェンの殻が開きカイリキーを射撃軸線上に吹き飛ばす。
「(エネルギー充填100%、冷凍ビーム発射ーーーーーーー)」
この言葉と共にパルシェンの殻の中央にある一番固い棘に
マイナスのエネルギーが一気に集まり発射される。
「よけろ、カイリキー。」
当れば危険と言うことを感じ取ったトレーナーが、必要以上に
大きな声で、回避命令を出す。
「カーイ」
このトレーナーの指示に従い緊急回避をするカイリキー
(なるほど、一様ジョウトリーグ10位入賞したトレーナーではあるな)
敵の見事なまでの危険感知能力にオレは心の中で、拍手を送る。
パキィィィィン
「やっぱりな、あの冷凍ビームは並みの威力じゃなかったか。」
この言葉が示すとおり冷凍ビームの射撃軸線上にあった全ての物が
凍り付いていた。
「カイリキー、一気に決めるぞ、きあいパンチだ。」
この指示を受けカイリキーは、精神を集中し始める。
「カーーーーーーーーーーーイ。」
カイリキーの拳に凄まじい闘気が集まり始める。
「パルシェン、影分身」
この言葉を受け何十体ものパルシェンがカイリキーの周りを取り囲む。
「甘い、そんなものでオレのカイリキーの攻撃をかわせると思うなよ
カイリキー集中して本体を見極めてからきあいパンチだ。」
この言葉に従いカイリキーは本体の場所を探り始める。
「・・・・・・・!!」
カイリキーが狙いを決めきあいパンチを放つ。
ドゴォォォォォォォォォォォン
派手な爆発音が響き渡りきあいパンチが偽者ではなく本体に直撃する。
「やったか?」
やがて立ち込めていた煙が晴れていき
「!!なんだと、馬鹿なきあいパンチまでも防ぎきるなんて。」
カイリキーのトレーナーの驚きの言葉どうりパルシェンの殻によって
きあいパンチは完全に防がれていた。
「(今度はこちらの番だ、”奥義”アブソリュートゼロ)」
本体が強力な吹雪をカイリキーに発射すると周りの分身たちも
一斉に吹雪を発射した。
ギチ、ギチギチギチ
ガキィィィィン
強力な吹雪がやみ分身が全て消え本体のみが残り周りに立ち込めていた
霧が消えた後そこには、巨大な氷山に閉じ込められ戦闘不能に
なっているカイリキーがいた。
「(終わりだ)」
この言葉と共にパルシェンが氷山に向かってとげキャノンを打ち込む
ビシ、バキ、
氷山にひびが入り
ガシャァァァァァン
バラバラに砕け散った。
そして、目をぐるぐるに回したカイリキーが地面に倒れこむ。
「おっ、オレのカイリキーが負けるなんて。」
カイリキーのトレーナーは、地面にひざを着きガックリとうなだれる。
「サンキュー、パルシェン。」
このオレの言葉にパルシェンは
「(偉そうな事を言っている割には、たいした事は無かったな。)」
こういって、ボールの中に戻っていった。
「お前、名前はなんていうんだ。」
カイリキーのトレーナーがオレの名前を聞いてくる。
「人に名前を聞くときは、まず自分が名乗るべきじゃないのか。」
こうオレが言い返すと相手は慌てて自分の名前を名乗る。
「そっ、そうだったなオレの名前はケンだ。」
「で、お前の名前は。」
「イクジスだ。」
オレは手短に名前を教える。
「イッ、イクジスって、まさかカントウ、ジョウト、双方のリーグで優勝
したって言う、あの凶牙の重戦車の異名で恐れられているイクジスか?」
ケンが、驚いた口調で言う。
まあ無理も無いだろ、まさか戦った相手がチャンピオンだなんて普通の人間は
予想もしないからな。
しかし、凶牙の重戦車なんて異名で呼ばれているとは、
一体誰が考えたんだこの異名。
なんてことを考えていた時、奥の路地から懐かしい気配を感じた。
「!!、まさか。」
オレは急いで奥の路地へと駆け出そうとした。
「また今度勝負してくれよな。」
ケンが、オレに言う
「ああ、良いぜ。」
オレはこう答えて、気配があった場所に急いで向かった。
そして、奥の路地に入り通路を曲がった瞬間・・・
ゴッチーーーーーン
オレは何かにぶつかり弾き飛ばされた。
「イテテテテ、なっ、なんだ?」
オレは頭を抑えながら目を空けるとそこには、オレと同じく
頭を抑えている一人の無限ポケモンがいた。
「ラッ、ラティアス。」
オレのこの言葉にラティアスは、驚きのあまり痛みもどこかに吹き飛んだのか
頭を抑えるのも忘れてオレに飛びついてきた。






技の説明
アブソリュートゼロ
影分身で敵を取り囲み分身、本体から吹雪を発射し敵を氷山の中に閉じ込め砕く技である。
本気になれば、氷山に閉じ込めた敵を粉々に粉砕することが出来る。



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