「会いたかったよ〜、イクジス〜。」
「オレもお前に会いたかったよ。」
こういってオレは、
跳び付いて来たラティアスの頭を優しくなでた。
「(どうやら落ち込んではいないようだな。)」
パルシェンのこの言葉にオレは
「(ああ、そうだな本当に良かった。)」
どうやらラティアスは、あの忌まわしき事件からは、
立ち直れたようだった。
(本当によかった、ラティアスが元気になっていて)
こんなことを考えていると
ラティアスがオレにこんな事を聞いてきた。
「ねえ、ねえ、何でイクジスは驚かないの?」
(おいおい、何の話だ。)
ラティアスの発した言葉の意味が分からずに
オレが頭を抱えて悩んでいると
「私、人間の言葉をしゃべれるようになったんだよ。」
・・・・・・・・・・・・
「い、今なんて?」
このオレの聞き返しにラティアスは
「だから、人間の言葉をしゃべれるようになったんだよ。」
「えーーーーーーー。」
この言葉にオレは驚きを隠せずに大声を上げてしまった。
「しゃっ、喋れるようになったって、本当か。」
「本当だよ、だって現にいましゃっべてるでしょ。」
確かに言われて見ればオレはラティアスと会話するときに
他人の思考を読み取る能力を使ってはいなかった。
本来ならばポケモンの言葉が分からないオレが
ポケモンと会話する時に必ず使うはずなのに
オレがこの事実に驚いていると
「(何だ、気づいていなかったのか。)」
どうやらパルシェンは、
ラティアスが人間の言葉で話していた事を
オレが気づく前に気付いていた様だった。
(だったら早く教えてくれよなー)
オレがこんな事を考えているとラティアスが
「どうしたの変な顔して。」
「いや、いや、何でもないよ。」
オレはこう言い返す。
(しかし人間の言葉を喋れるようになっていたなんて、
もの凄い学習能力だな)
などと考えていると
「そうだ、久しぶりに会えたんだし町を案内してあげる。」
ラティアスが明るい笑顔でオレにこういってきた。
「よろしく頼む。」
こういって、ラティアスに町を案内してもらうことにした。
それからオレたちは、町のいろんな場所を見て回った。
クレープがおいしい店とかスパゲッティがおいしい店とか
いろんなお店を、ラティアスはオレに紹介していったのだった。
やがて日が暮れオレたちはポケセンの前にいた。
「ここに、イクジス泊まってるんだ〜。」
ラティアスがポケセンを眺めながら言う。
「ああ、まあな、
・・・・・そうだどうせなら部屋を見てくか?」
オレがこうラティアスに言うと。
「え、良いの?」
ラティアスが驚く
「当たり前だろ」
オレはこういってポケセンの中に入って言った。
それにラティアスも続き入っていく。
「へ〜、中はこんな風になっているんだ〜。」
オレは、珍しそうに部屋の中を眺めるラティアスに
鍵を貰って来ると言って
ポケセンのカウンターのところに歩いていった。
「ジョーイさん預けていた201号室の鍵をください。」
オレは、カウンターの中にいるジョーイさんに部屋の鍵を頼む。
「イクジスさんですね、少々お待ちください。」
そう言うと、
奥の部屋に行きそこの壁に掛けてある鍵を持ってくる。
「はい、201号室の鍵。」
オレは、それを受け取り礼を言って、
ラティアスのところに戻る。
「オーイ、部屋に行こうぜラ!!」
危うくラティアスと大声で言いそうになりオレは、
慌てて口をふさぐ
「どうしたのイクジス?」
ラティアスがオレに近づいてきて、何事かと聞く。
オレは他の人に聴かれないように小声でラティアスに言う。
「こんな大勢の人がいる中で、お前の名前を読んだら
一発でポケモンってことがばれちまうだろ、
だから口を閉じたんだよ。」
この言葉にラティアスは大きくうなずき。
「確かにそうだね。」
気楽に答える。
どうやら事の重大さを分かってないようだ。
「しょうがないな、何か適当な名前でも無いか?」
オレがラティアスに聞くと
「適当な名前って言われてもな〜、思いつかないよ、
私、名前を考えるのあんまり得意じゃないし。」
この返事にオレは困り果てる
なぜならオレも名前を考えるのはとくいで、
無かったからである。
「あっ、そうだ。」
突如ラティアスが何かを思いついて声を上げる。
「どうしたんだ、何かいいアイデアでも出たのか?」
こうオレが聞くとラティアスは、自信満々にこう答えた。
「カノンの名前を借りちゃえばいいんだよ。」
なるほど、確かにいいアイデアだった。
カノンと変身後のラティアスは瓜二つと言うか
絶対に見分けることが不可能なほど似ているからである。
それに、よくよく、考えてみれば、
他の名前で呼ぶと色々と面倒なことが起きることに気づく。
例えば、街中でカノンのそっくりを見つけたとか噂されたり
ドッペルゲンガーに見間違えられるかもしれない。
「そうだな、とりあえずそうするか。」
こうしてオレは、
人前ではラティアスの事をカノンと呼ぶようにした。
「じゃあ、いくか、ラ、じゃなかった、カノン。」
オレはまたラティアスといいそうになり慌てて言い換える。
「そうだね。」
こうして部屋に向かおうとした時、
オレたちは見知らぬ少年に呼び止められる
その少年は、身長155センチ位で
黒色の腰まで伸びた長い髪が特徴的だった。
「ねえ、ねえ、
ここの町に伝説のドラゴンがいると聞いたんだけど
君達何か知らない。」
オレは、少し考えてこう答えた。
「いや、聞いたことは無いが。」
すると相手の表情が少し暗くなる。
「そっか〜、君も知らないのか〜、残念だな〜」
こういい残すとポケセンの奥のほうに消えていった。
「伝説のドラゴンポケモンか〜見てみたいねイクジス。」
ラティアスが興味津々と言った様子で言う。
「そうだな、一度お目にかかって見たいものだな。」
こんな話をしながらオレたちは、部屋に到着した。
「へ〜、部屋の中ってこうなっているんだ〜。」
ラティアスが感嘆の声と共に部屋を見回す。
「そんなに珍しいのか。」
「うん、中をじっくり見るのは、初めてだから。」
確かに、
前にラティアスが助けを求めるために部屋に入ってきた時は
ゆっくり部屋を見れる状況ではなかったのだから。
「なあ、ラティアスカードーゲームでもするか。」
オレは、バッグの中からトランプを取り出してカードを切る。
「うん、やる〜・・・・・でも、どうやってやるの?」
「なあに、大丈夫オレが教えてやるよ。」
こう言いながらオレは、
腰につけてある12個のボールを全て開閉させる。
「皆、部屋に着いたから明日の朝まで自由時間だ、
それとポーカーする奴いる?」
この呼びかけに、ハッサムとメタグロス、
ボスゴドラが手を上げる。
「OK,
じゃあ、ラティアスにルールを教えてからゲーム開始だ。」
オレはラティアスにルールを教えるとカードを切り皆に配る。
「オレはコレとコレを交換するか。」
オレは二枚のカードを
「(・・・・オレはコレを交換だな>)」
ハッサムは一枚のカードを
「(我はこのカードを。)」
メタグロスは三枚のカードを
「(オレは、コレでも交換するか。)」
ボスゴドラは二枚のカードを交換する
「ラティアスはどうするんだ?」
オレが聞くと悩みながらこう答える。
「う〜んと、え〜と、コレとコレ。」
ラティアスも二枚のカードを交換する。
「それじゃ行くぜ、オレはスリーカードだ。」
続いてハッサムがカードを公開する。
「(残念だったな、オレはフォーカードだ。)」
さらにメタグロスもカードを公開する
「(我はワンペアだ。)」
ボスゴドラも同じくカードを公開する
「(オレもワンペアだ・・・ついてないな〜。)」
最後にラティアスがカードを公開する。
「やった〜、私の勝ち〜。」
なんとラティアスの手札は
ロイヤルストレートフラッシュだった。
「んな、馬鹿な。」
オレたちは呆気に取られてしまった。
まさかいきなり最初から最強の役がそろうなんて、
なんて運の強さだ。
「(もう一回勝負だ。)」
ハッサム勝負魂に火がついたのかやる気満々といった感じで
再戦を申し込む
「いいよ〜。」
それにあっさりと応じるラティアス。
こうして二回戦めが始まった。
結果は、またラティアスの一人がち。
「(もう一回だー。)」
ハッサムがまた勝負を挑む
三回戦めまたまたラティアスの勝ち。
こうして、オレたちが何度やってもラティアスに勝てないまま
夜が深けて行った
チュンチュン
外から鳥のさえずりが聞こえてくる。
それと同時に窓から朝の日差しが差し込んでいた。
どうやら、
夢中になってカードゲームをやっている間に寝てしまい
朝になってしまったようだ。
ふと昨日の勝負を思い出す。
まさかラティアスがあそこまで強いとは思いもしなかった。
オレは一息ついてから皆を起して
朝食を食べに1階へと降りていった。
「なあ、ラティアス昨日はずっとオレの部屋にいたけど
カノン達に連絡したのか?」
オレはふと思い立った疑問を小声でラティアスに聞いてみる。
「あっ、・・・・すっかり忘れてた。」
ラティアスが予想どうりの返答を返す。
「なら、飯を食ったら急いでカノンたちのところに行くか。」
「そうだね。」
こうしてオレたちは、
急いで朝食を済ますとカノン達がいると思われる
秘密の庭に向かって歩き出した。



一方そのころ水の都のある場所
「やっと分かった、心の雫のありかが、コレでようやく・・・・・」
不穏な気配が漂い始めていた。



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