「やっと、たどり着いた。」
オレたちは、
ラティアスの案内でようやく秘密の庭にたどり着くことが出来た
そこへ丁度カノンたちが現れる。
「一体何所に行っていたの?
一晩も帰らないから心配したのよ。」
カノンが心配と怒りがない交ぜになった口調で言う。
無理も無いだろう
大切な家族が何の連絡もなしに一晩も消えていたのだから
「ごめ〜ん、イクジスのところに居たんだけど、
連絡するの忘れちゃって。」
ラティアスがすまなそうに言う
「もう、今度からはちゃんと連絡してよね。」
カノンも安心したのか
その表情からは心配と怒りの感情が消えていた。
「よう、久しぶりだな。」
オレは頃合を見計らってカノンとボンゴレさんに挨拶する。
「イクジス、
貴方がついていたのなら、ちゃんと連絡してよね。」
カノンはオレの挨拶を無視しオレに詰め寄る。
・・・・相変わらずだな
オレはこんな事を思いながらカノンに言い訳をする。
「いや、連絡しようと思ったんだけど、
なんか気づいたら朝になってて。」
だがこんな言い訳がカノンに通じるわけも無く
オレはさらに詰め寄られる。
この様子を見ていたボンゴレさんが
オレとカノンの間に入りカノンをなだめる
「まあ、まあ、カノン無事に帰ってきたのだから
そんなにむきになる事もあるまい。」
この言葉にカノンも納得して
「そうね、無事に帰ってきたんだから。」
ボンゴレさんのおかげでオレはカノンの追及から
逃れる事が出来た。
「それに、久しぶりの再開なんじゃ
積もる話があって連絡を忘れたんじゃろう。」
うーん、少し違うのだが、まあ、いいか
「そうね、久し振りの再開だものね。」
カノンもボンゴレさんの言葉に納得しているようだった。
「立ち話もなんじゃ、わしの家で話さんかね?」
こうしてオレは、ボンゴレさんの家で今までの旅の話を
することにした。
オレはこの旅の話をすることに夢中になり気づいた時には、
すっかり日は落ち
夜になっていた。
「もう、こんな時間か、かなり喋っていたんだな。」
ふと、
時計に目が行った瞬間にオレは今が何時なのか気がついた。
「そろそろ、帰らなきゃなポケセンに。」
オレは帰る支度をし始める。
そんなオレの様子をラティアスが残念そうに見つめる。
「イクジス君、今夜はここに泊まって行かんかね?」    
この突然のボンゴレさんの誘いにオレは驚く。
「いいんですか?」
「うむ、
わし達もラティアスもお前さんの話を聞いていたいからな。」
こうしてオレは、この家に一晩止まることになった。
それを一番喜んでいたのは、もちろんラティアスであった。
この後、
一時間くらいオレが喋っているとカノンが
お茶を入れてくるといって部屋を出て行った。
そして、数分が経過したころ突如秘密の庭の方から
とても嫌な気配が漂ってきた。
オレは急いで椅子から立ち上がると
秘密の庭の方に走っていった。
この動作を見たラティアスたちは、
不思議そうに首をかしげながらオレの後に続く
そしてオレは秘密の庭にたどり着く。
なんとそこでオレの目に飛び込んできたのは
血の海に横たわっている
カノンの姿と腕に血をべっとりと付け
信じられないほどに瘴気を放っている
カノンそっくりの何者かだった。
「カノーーーーーン。」
倒れているカノンに向かって駆け出すラティアス
だが、カノンのところまで後一歩と言うところで、
突如出現した何者かによってラティアスは、弾き飛ばされる。
「大丈夫か?ラティアス。」
オレは弾き飛ばされたラティアスを助け起す。
そして、敵の正体を確認する。
なんと、ラティアスを弾き飛ばした敵の正体は、化石ポケモン
プテラとカブトプスだった。
しかもその化石ポケモンたちは、
前の事件の時と同じ目に生気がなく
体も普通のサイズに比べて圧倒的に大きかった。
「邪魔しないでよ、
今私のオリジナルを消そうとしてるんだから。」
そう言って、振り上げられたカノンそっくりの少女の手には、
いつの間にか巨大な鎌が握られていた。
そして無常にも鎌がカノンめがけて振り下ろされる。
「やめろーーーーーーーー。」
オレが声にならない叫びを上げる。
しかしそんなことで鎌が止まるはずもなく、
一気に振り下ろされる。
ガキィィィィィン
だが、鎌が命中したのは、カノンではなく地面だった。
「はあ〜、危ないところだったね。」
なんとカノンを助け出したのは、
カイリューに乗ったトレーナーだった。
オレは、そのトレーナーの姿を見てさらに驚く。
何故なら、
そのトレーナーは昨日ポケセンでオレたちに伝説のポケモンの事を聞いてきた奴だったのだ。
「お前、何故ここにいるんだ?」
オレは、どうしてここに居るのかを本人に聞いてみる。
だが、それには答えず
「今はそんなことより、
この子を病院に連れて行くほうが先だろ。」
確かにこいつが言うことに間違いはない。
今は一刻も早くカノンを病院に連れて行くことのほうが
大事だった。
「でも、病院までの道が分からないんだよね。」
どうやらこいつもオレと同じく
アルトマーレの地理を把握してはいない様だった。
「わしが、案内をする、
すまんがカイリューにわしの言う事をきいてくれる様に
言ってくれんか。」
このボンゴレさんの言葉に少年は首を縦に振る。
「分かりました、カイリューこの人の言うことを良くきいて病院に急いで向かうんだ。」
この言葉を受けたカイリューは、頷くとカノンを腕に抱き抱え
ボンゴレさんを背中に乗せると凄いスピードで
病院に向かって飛んでいった。
オレはカイリューが無事に飛び去っていくのを見届けると、
カノンそっくりの少女の方に振り向き
怒気を孕んだ声と共に言い放つ。
「貴様、一体何者だ、何故カノンを傷つけた。」
すると、カノンにそっくりの少女はこう答える。
「私の名前はシェイド
かつてこのアルトマーレに現れた邪悪な怪物と
呼ばれた者の一部よ。」
そのシェイドと名乗った少女は驚くべきことを口にした。
「それと、あの子を襲った理由は、オリジナルに生きられてちゃ
何かと不便なことが起きるから、だから殺そうとしたのよ。」
オレはこの答えに怒りを覚えた。
たった、
たったそれだけの理由でカノンは殺されそうになったのである。
「ふざけるな!!、たったそれだけの理由であいつを、
カノンを傷つけたなんて、
お前にも味合わせてやるカノンの痛みを。」
オレは、腰に付けてある12個のボールのうち一つを選び出し
投げようとする
「僕も同意見だね、ここは協力させてもらうよ。」
そう言って腰に付けてあるリピートボールに手を伸ばしながら
続けざまにこう言う。
「そう、そうまだ僕の名前を言ってなかったね
僕の名前はゆうき、フスベシティ出身のトレーナーだよ。」
フスベシティといえば、
ドラゴンポケモンの使いの総本山である。
そこの出身と言うことは、恐らく
このゆうきと言う少年もドラゴン使いなのだろう。
オレがそんなことを考えているとゆうきが
「ねえ、君の名前は?」
オレは自分が名乗っていない事に気づく
そして慌てて自分の名を名乗る。
「オレは、ワカバタウン出身のイクジスだ。」
簡潔に答えると選んでいたボールを勢いよく投げる。
それと同時に
ゆうきも選んでいたリピートボールを勢いよく投げる
二つのボールが同時に開き中から
「頼む、グラードン!!」
「グォォォォォォォォォン(任せろ)」
オレのボールからはグラードンが
「行け、カイオーガ!!」
ゆうきのボールからはカイオーガが飛び出す。
それを見たシェイドは、笑い声と共に言い放つ。
「アハハハハハハ、君達馬鹿?グラードンとカイオーガを
一緒に出すなんて
それじゃ、お互いの特性が潰れちゃうの知らないの?」
確かにシェイドの言うとおりグラードンとカイオーガは、
互いが互いの特性を打ち消してしまう。
「カイオーガ、戻るんだ。」
特性が打ち消しあうのが危険と感じたゆうきは、
カイオーガを戻そうとする
「戻さなくていい。」
だがオレはこれにストップを掛ける。
何故なら、とてもいい作戦が思いついたからだった。
「ゆうき、カイオーガの雨降らしを最大出力で
敵の中心に向かって打ち込んでくれ。」
この言葉にゆうきは困惑する。
「攻撃技じゃないから
ダメージは与えられないと思うんだけど。」
ゆうきの言うとおり普通に撃った雨降らしでは
敵にダメージを与えることが出来ない
だが、日照りと合わせればそれが可能になるのだ。
「いいから、早く、
それとグラードンも日照りのエネルギーを最大出力で
カイオーガと同時に撃ってくれ。」
こうしてグラードンもエネルギーの充填を始める。
「(エネルギー充填率120パーセント到達完了。)」
この様子を見ていた、シェイドは不思議そうな顔をして言う。
「君達何無駄なことやってるの?」
どうやらまだオレの考えは、見通されてはいないようだった。
そうこうしている間に
カイオーガのエネルギーの充填も完了する。
「私、君達に付き合っている暇はないから。」
このシェイドの言葉と共に化石ポケモンたちが戦闘態勢を取る。
だが、もう遅い何故ならカイオーガとグラードンの
エネルギー充填はすでに完了しているのだから。
オレは、ゆうきに合図すると共にグラードンにも合図する。
「ゆうき、雨降らしのエネルギーをオレの合図で、
グラードンと同時に打ち込んでくれ。」
ゆうきは、無言でコレに頷く。
オレは、化石ポケモンたちとの距離を測る、
そして
「発射ーーーー!!」
攻撃の合図を出す。
この合図を得てグラードンとカイオーガが
同時に同じ場所へ目掛けて
雨降らしと日照りのエネルギーを打ち込む。
「ゆうき、カイオーガに何か防御壁を張ってもらえ。」
コレを聞いたゆうきは、訳が分からと言った様子でカイオーガに
防御壁を出すよう命令する。
「カイオーガ、永久氷壁!!」
命令を受けたカイオーガは、すぐさま自分の前に分厚い氷の壁を
生み出す
オレは、近くにいたラティアスの腕をつかみ
グラードンの後ろに引っ張る
「グラードン、原始の力をバリヤーにするんだ。」
「(了解)」
ブォォォォン
原始の力のエネルギーフィールドがオレたちを包み込む。
オレたちが防御の体制を整えたちょうどその時、
雨降らしと日照り二つのエネルギーが
丁度敵の中心部でぶつかる。
その瞬間
ドゴォォォォォォォォォォォォォン
とてつもない水蒸気爆発が巻き起こる。
そして大量の水蒸気が、視界を覆いつくす。
この予期せぬ大爆発にゆうきとラティアスは、
呆気にとられていた。
「ねえ、何でこんな大爆発が起こったの?」
ラティアスがこの爆発の原因を聞いてくる
ゆうきも、爆発の原因に興味がある様だった。
オレはこの二人に理由を説明する
「簡単なことさ、大量の水と灼熱の火の玉が衝突すれば、
水が水蒸気となり一気に膨張するだろ、
あの爆発は、その大量の水蒸気のせいさ。」
だが、二人はまだ頭を悩ませていた。
「でも、水蒸気だけであんな凄い爆発が起きる物なの?」
確かに俄かには信じられないだろう、
だが事実は事実なのでオレはもう一度説明する。
「ああ、爆発ってのは、急激な気体の膨張の事を指す、
だから急激に膨張させれば水蒸気でもあれだけの破壊力を
生み出せるんだ。」
こんどは、二人とも納得できたようであった。
やがて、あたり一面に立ち込めていた水蒸気も消失する。
そこに化石ポケモンたちの姿はなくあるのは、
シェイドの姿だけであった。
どうやら、
化石ポケモンたちは先の爆発で完全に消え去ったようだ。
「もうお前にポケモンは無い、覚悟するんだな。」
オレはシェイドの思考を読み取りもう
ボールが無いのを知っていた。
だが、シェイドは不敵な笑いを浮かべる。
「やっぱり、体だけじゃ心の雫を使わないと弱いね〜
おかげで、君達に
私の真の姿を見せなきゃ行けなくなっちゃったよ。」
こういい終わったシェイドの周りを黒い瘴気の渦が取り巻く
その渦の中で、シェイドの姿が変わっていく。
やがて渦が収まりオレたちの目の前には、
あまりにも強力な波動を放つカブトプスが出現していた。
「私の邪魔をする奴は、皆切り殺してあげる。」
この台詞と共にシェイドが一気に距離を詰める。
ガギィィィィン
耳障りな金属音と共にシェイドの鎌と
グラードンの爪がぶつかり合う。
「(接近戦ならお手の物だーー!!)」           
すぐさま、
グラードンが開いている左の爪を敵の腹目掛けて繰り出す。
「甘いよ。」
シェイドは、コレに自分の鎌を合わせる。
たちまち凄まじい力のせめぎ合いが始まる。
「(原始の力)」
「原始の力」
グラードンとシェイドが原始の力を同時に発動させる。
たちまち波動と波動がぶつかり合い二人の距離が開く
その瞬間の隙を逃さずゆうきが叫ぶ
「カイオーガ、潮吹きだ!!」
この命令によって発射された潮吹きは、
シェイドにクリーンヒットし壁まで弾き飛ばし叩きつける。
だが、ここまでクリーンヒットしたと言うのに
ゆうきの表情は曇っていた
「おい、どうしたんだそんな浮かない顔して?」
オレは不思議に思いゆうきに尋ねて見る。
するとゆうきは
「本来ならば鉄板ですら余裕で貫く威力なのに吹っ飛んだ、
だけなんて。」
「何よそ見してるの?」
何時の間にかシェイドがカイオーガの横に回りこんでいた。
ゆうきは、急いでカイオーガに迎撃体勢を取らせるが時既に遅し
「原始の力」
この攻撃により吹き飛ばされる。
そしてシェイドは、こちらに振り向き
「ハイドロカッター」
勢いよく鎌を振り落とす
すると鎌の軌跡に沿って水の衝撃波が形成され
グラードンに襲い来る。
「(甘い、火炎放射ーー!!)」
口から灼熱の炎を吐き水の衝撃波を蒸発させる。
それにより、辺りを水蒸気が覆い隠し視界が遮られる。
「しまった。」
オレは焦った、
今のこの状態では、敵の姿を捉えることが出来ない
「グラードン、危なーーーい。」
ラティアスが叫ぶ
「(チィ。)」
ズドォォォォォン
何かが倒れる音がする。
やがて水蒸気が消えるとそこには、倒れているグラードンと
鎌を振り上げたシェイドの姿があった。
「終わりだよ。」
シェイドがグラードン目掛けて鎌を振り下ろす。
「させるかーーー、カイオーガ、雷!!」
ゆうきのカイオーガがシェイドの頭上に雷を叩き落す。
「危ないな〜。」
シェイドはそれを、軽く避ける
その間にグラードンは体勢を立て直すと、オレに言う
「(おい、何かいい手は無いのか、
このままじゃやられちまうぞ。)」
確かに、グラードンの言う通りだった。
このままではいずれやられてしまうだろ。
オレは、何かいい作戦は無いか必死で考える、
そして一つの作戦が浮かぶ。
「ゆうき、時間を稼いでくれ。」
「良いけど、どれ位?」
「五分ほどだ。」
ゆうきは、少し考えてから
「それ位なら何とか。」
出来ることをオレに伝える。
オレは、腰から新たにボールを一つ選び出すとそれを投げる。
「頼む、ジラーチ。」
中から願い事ポケモンジラーチが出現する。
「(やっと僕の出番?)」
子供の口調でジラーチが言う。
「ああ、そうだジラーチ、
あいつに目掛けて破滅の願い発動だ!!。」
オレは、シェイドを指し示しながら、
ジラーチに技の発動を頼む。
「(OK,じゃあ、ショータイムと行こうか。)」
こう言うと、ジラーチの体の中央の真実の眼が大きく開かれる。
「(滅んじゃいなよ。)」
ジラーチのこの叫びと共に真実の眼から天空に向かって
光が伸びる。
「何をやっても無駄だよ。」
シェイドが、ジラーチ目掛け斬り掛かるがそれを、
ゆうきのカイオーガが阻止する。
やがて、雲を押し分け何個もの隕石が飛来する。
「グラードン合体技だ。」
この言葉を聴いたグラードンは頷く、そしてゆうきが
隕石の巻き添えを食らわないように敵との距離を一気にとる。
シェイドが何事かと空を見上げ隕石を視認するが、時既に遅し
「(合体奥義、ヴォルケーノストライク!!)」
グラードンとジラーチが同時に技の名前を叫ぶ
そして、隕石が着弾すると同時にグラードンが噴火を放つ。
灼熱の炎と隕石の衝突エネルギーが
残らずシェイドに叩き込まれる。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
耳を劈く爆音と、熱気が辺りを支配する。
やがて爆音と熱気が収まるとそこには、
巨大なクレーターが出来ていた。
「フー、何とか倒したか。」
オレは安堵のため息をつく
「ねえ、庭が滅茶苦茶なんだけど。」
ラティアスの指摘の通り秘密の庭は
見るも悲惨な状況になっていた。
「まっ、まあ、敵を倒せたんだし気にするな。」
オレは、少々どもりながら弁解する。だが
「誰が、やられたって?」
オレはこの声を聞いて背筋が氷つく。
あれだけの、衝撃と熱を受けているのだから普通なら
跡形も無く消滅してる筈である。
だが、オレたちの目の前には、無傷のシェイドがいた。
「もう、さっきのは痛かったよ、だから、
今すぐ切り刻んであげるよ。」
この言葉と共に銀光が煌きゆうきとカイオーガ
それにグラードンとジラーチが
いとも簡単に吹き飛ばされそのまま気を失う。
オレは、
焦っていたこういとも簡単にグラードンやジラーチ更には、
カイオーガまで、やられるなんて思いもよらなかった。
このままでは、他の仲間でも一瞬にしてやられてしまうだろう。
「君も邪魔だから。」
シェイドが一気にオレたちの前へと移動し鎌を振り落とす。
避けられないと判断したオレは、
自分の腕をクロスさせ鎌を受け止める。
ぶしぃ!
鎌が、オレの骨に当たりその動きを止める。
「随分頑丈な骨だね・・・・・でも、
鎌はもう一本あるんだよ。」
ザシュゥゥゥゥン
「ガハッ、しまった。」
もう片方の鎌が有る事をすっかりと忘れていたオレの腹部を
深々と貫いていた
徐々に薄らいでいく己の意識の中で
ラティアスが何か言っているのが
オレの耳に最後まで残っていた。
「君は、私と一緒に付いて来てもらうよ。」
こう言うと、シェイドは私に向かって近づいてくる。
「やだ、私はイクジスたちを、病院に連れて行くんだから。」
私は、ポケモンの姿に戻るために意識を集中する。
だがその集中は、シェイドの鎌によって遮られる
「邪魔しないでよ。」
間一髪鎌を避けた私は、シェイドを睨みつけていう。
「冗談でしょ、君がポケモンの姿になったら色々と面倒だからね。」
こう言い返し、
私に変身の隙を与えないために連続で切りかかってきた。
私はそれを何とか避けながらこの状況を打開する方法を考える。
(このままじゃ、イクジスが死んじゃう何とかして、
力を使えるようにしなきゃ・・・・でもどうすれば。)
何とかして力を使おうと考えていた私の頭に練習中だった
ある方法が思いつく
(駄目かも知れないけど、一か八かあれを使ってみよう。)
こう、心に決めた私は、精神を集中させる。
「無駄だよ、君に変身させる時間は与えないよ。」
シェイドの鎌が精神を集中させている私に襲い来るが・・・・・
「ドラゴンクロー」
その前に力の解放が終了しポケモンの技で迎え撃つ。
「へ〜〜〜、ポケモンの姿に戻んなくても技が使えるんだ。」
このシェイドの言葉通り今の私は、
ポケモンの姿ではなく人間の姿をしていた
変わった所と言えば、目の色が
私のポケモンの姿の時と同じ金色と言う事だけだった。
「でも、その姿じゃあ技がうまく使えないみたいだね。」
やはり見抜かれていた、
私がまだこの状態でうまく技が使えないことを
「それでも、私は、諦めない。」
両手にエネルギーを集中させドラゴンクローを
いつでも発動できる状態にする
そして、一瞬とも永遠とも付かない沈黙の後
私は大地を蹴り
シェイド目掛けて右斜め上からドラゴンクローを解き放つ
ギィィィィィン
鎌とクローがぶつかり火花が散る
私は間髪いれず逆サイドからも攻撃する
だがこの攻撃を、
シェイドはあっさりともう片方の鎌で受け止める。
私はすぐさま右手にエネルギーを上乗せさせ
シェイドの鎌を弾き飛ばす。
そして、がら空きになった敵の腹部目掛けて
最大出力のクローを打ち込む
ズドォォォォォォン
腹部にクローを受けたシェイドは
バランスを崩しながらも必殺技を放つ
「ハイドロカッター。」
私は回避不可能と判断しガード態勢を取るが、そのかい虚しく
派手に吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。
「くっ、バリヤーの上からでも
こんなにダメージが有るなんて。」
私は、ふらつきながらも何とか立ち上がる。
そして目の前にいるシェイドを睨みつける。
「ちょっと、暴れすぎだよ大人しくしてて貰おうかな。」
笑いながら、鎌を振り上げ攻撃態勢に入るシェイド
だがその時力強いイクジスの声が聞こえる。
「サークルフレイム!!」
突如シェイドが炎の円に包まれ焼き焦がされる。
「何なんだよこの炎は。」
このシェイドの叫びにイクジスが答える。
「オレの炎だよ。」
私は耳を疑った、だってイクジスは今自分の炎って
人間が炎を出せる話なんて聞いたことが無かった。
「今回は、分が悪いみたいだね引かせて貰うよ。」
こういい残すとシェイドの姿が掻き消える。
「大丈夫かラティアス?」
オレはラティアスが無事なのかどうか近寄って確認する。
「うん、私は大丈夫だよ、
それより怪我はそれにその目はどうしたの?」
ラティアスが驚くのも無理は無い
何故なら、
オレがさっき受けた傷は完全に修復されているのだから。
おまけに、
瞳の色もエメラルドグリーンから真紅に変わっている。
この状態で驚かない方がおかしいと言うものだろう。
「後で説明するよ、とりあえず
今はあいつらを病院に連れて行くほうが先決だからな。」
オレは、
そう言い気絶しているグラードンとジラーチをボールに戻す。
そして、ゆうきのカイオーガもボールに戻す。
その状態でオレはゆうきを背負うとエアームドに病院まで
運んでもらうように頼む。
「ラティアス、行こうぜ。」
「あっ、待ってよ〜。」
ラティアスも急いでエアームドに飛び乗る。
そしてオレたちは、カノンが収容されている病院へと急いだ。
         〜アルトマーレ病院〜
病院の前に付くとオレは、
ゆうきを背負ったままエアームドから飛び降りる
続いてラティアスも飛び降りたことを確認すると
エアームドをボールに戻す。
そして急いで、病院の中に入っていく、
しばらく行くと医者と話している
ボンゴレさんの姿が見える。
オレは、急いで駆け寄る
「今、担当の医師が来ますから
そうしたらもっと詳しいことが分かるでしょう。」
こういい残すと奥の扉に消えるそれと入れ替わりに
「私がカノンさんの担当の医師です。」
新しい医者が現れるがなんとそれは、オレの知り合いだった。
「あれ、イクジスじゃないですか久しぶりですね。」
相手もオレに気づき挨拶をしてくる。
「イクジスこの人と知り合いなんだ〜。」
ラティアスが驚き驚きといった口調で頷く。
「ああ、そうだ、
オレの幼馴染でポケギアを改造したのもこいつだ。」
オレは簡潔に
オレと目の前に現れた医者との関係をラティアスに教える。
「よろしく、皆さん亮といいます。」
亮が皆に挨拶をする。
「では、そろそろ本題に戻りましょうか、
カノンさんの容態は安定もう大丈夫ですよ。」
皆が安堵のため息をつく。
「おや、イクジスその後ろに背負っている人は?」
亮がオレが背負っているゆうきの存在に気づく。
「こいつも診てやってくれ。」
オレはゆうきを椅子の上に降ろしながら答える。
「分かりました。」
・・・・・・・・・・・・
「ただの気絶ですね、しばらくすれば目覚めるでしょう。」
どうやら、なんとも無いようだった。
「なんとも無くてよかったの〜、
こいつも安心しているじゃろう。」
こういったボンゴレさんの手には、ゆうきのカイリューが入った
リピートボールが乗せられていた。
「あと、ポケモンたちも頼む。」
オレは、
先の戦いで傷ついたグラードンとジラーチが入っているボール
それとゆうきのカイオーガが入っている
リピートボールを亮に手渡す。
「人間のお医者さんなのにポケモンのことが分かるの?」
ラティアスが、オレの行為を不思議に思い問いかける。
「ああ、こいつはポケモンの医者でもあるからな。」
この答えを聞きラティアスは納得する。
「これで、一安心だな。」
オレは安心して、その場に倒れる
「イッ、イクジス!!大丈夫、
やっぱりどこか怪我してたんじゃ。」
ラティアスが心配そうにオレに駆け寄る。
だが亮は冷静に一言
「ただ、寝てるだけですね。」
この言葉が示す通りオレは、安らかな寝息を立てて寝ていた。
「驚かさないでよね。」
文句を言いながらもラティアスの顔は笑っていた。





技の説明
サークルフレイム
バクフーンEXの持ち技、炎の円の中に敵を閉じ込め焼き払う技
受けた相手は、確実に火傷状態になり逃げられなくなる。

ボルケーノストライク
破滅の願いと噴火を組み合わせた、合体奥義。
空から巨大な隕石を降らせ着弾と同時に噴火を解き放ち
敵を消失させる技




<続きを読む>

<目次に戻る>