小説 僕たちイーブイキッズ 第1幕 第1章「出会いと旅立ち」
タマムシシティ。
かつて、この町には、ロケット団の地下アジトがあった。
今では、地下アジトへの入口は警察によって塞がれた。
だが、ロケット団は別の場所から、旧アジトへとつながる入口を作った。
そして、静かにアジトを復活させていた。
だが今日は、秘密結社のアジトにしては、ずいぶん騒がしかった。
―ロケット団の地下アジト―
ロケット団員1「どうだいたか?」
ロケット団員2「いいや、いなかった。」
R団員1「まずいな、早く実験番号001のイーブイを見つけないと、オレたちは死亡の一歩手前にされちまう!!」
R団員2「もう1回エアシャフト(通気口)を探そう。」
でもどっちにしたって、この2人はボスの鉄拳によって瀕死状態へ。
何故かと言うと、もうイーブイはエアシャフトを抜けていたのだ。
実は、このイーブイは10歳の少女の記憶と意識が一体化しているのだ。
名前はエリだ。
エリ「(上手く巻いたみたい。)」
ロケット団員3「いたぞ。」
エリ「(そんな早すぎるわ。ん、リニア・・・。そうだわ、アレに乗れば・・・。)」
ヤマブキ駅前の人込みの中にエリは逃げ込んだ。
「やっと巻いたわ。」と、思ったエリだが、前を見なかったせいで、人にぶつかった。しかも、運悪くロケット団員のエリートだった。
ロケット団員エリート1「おっ、イーブイか、高く売れるな。」
エリ「マ、マズイわ・・・。」
エリは、逃げようとしたが、遅かった。
R団員E1「おーっと、逃げられると思っているのか?捕まえたぞ。」
R団員E2「毛のツヤが結構いいな。毛皮として売れるぜ。」
そこで、尻尾をつかまれて、嫌がっているエリを見て、青年がこう言った。
青年「よう、兄ちゃんたち、何してんだ? 見たところ、そのイーブイに嫌がらせでもしているんじゃないのか?」
R団員E1「ハァ?。」
R団員E2「何、ふざけんじゃねー。」
といって、ロケット団員エリート2は、青年を殴ろうとして飛び掛ったが、別の青年が(ロケット団員エリート2を)殴り倒した。
青年の後輩「先輩。加勢しましょうか?」
青年「おう、頼む。」
R団員E1「やるか、このガキども。」
エリ「(・・・今のうちに、)」
エリはドサクサに紛れて駅に入った。さらに、出発15秒前のリニアに飛び込んだ。
そして1時間後コガネ駅についた。そして、キキョウシティ行きのバスに乗った。
エリはキキョウシティについた途端、道端で深い眠りに落ちた。
―キキョウシティ―
少年「ふぁ、退屈だな・・・。宿題はもうとっくにかたずいてるし、夏休みも、そろそろ終わりだし・・・。旅に出ようかな・・・。」
この少年の名前はユージである。10歳なのに、まだ塾に通っていた。
ユージが、歩道を歩いていると、目の前をイーブイが横切った。実は、このイーブイがエリなのだ。
ユージ「おっ、イーブイか、・・・まっいいや。いけっ、モンスターボール。」
エリ「えっ?」
ガンッ
ユージ「あれっ、おかしいな、ゲットできるはずなのに・・・。」
エリ「一体何?」
ユージ「えっ、マ、マジかよ、イーブイがしゃべったー。」
エリ「もぅ、何よ。私には、[エリ]っていう。ちゃんとした名前があるの。」
ユージ「ゴ、ゴメン。家に来る?」
エリ「なぜあんたの家なんかに行かなくちゃいけないの?」
ユージ「オレの名前は、ユージ。君の頭にタンコブ作っちゃったからさ。」
エリ「へぇー、ユージって、けっこう気が利くわね。」
ユージ「それじゃ、肩の乗っかってくれ。しっかりつかまれ。」
エリ「なぜ?」
ユージ「スケボーじゃ、しっかりつかまっていないと道路に吹っ飛ぶぞ。」
エリ「ありがとう。」
ユージ「ところでさ、そっちの話を色々聞かせてくれる?」
エリ「いいわ、」
エリはユージに今までに何があったか話した。
エリ「信じる?」
ユージ「信じるしかないって。他にもロケット団の奴らに何かされたのか。」
エリ「イーブイの方の記憶から分かったけど、[遺伝子を多少組み直した。]なんて、言っていたわ。」
ユージ「い、遺伝子の組み直し?」
エリ「副作用はないわ。だけど、イーブイと一体化したせいで、自分の体を失うなんて・・・。」
ユージ「・・・でもよかった。遺伝子の副作用で、体が変な風にいきなりなったら、対処法がわからないから・・・。アッ、ほら、ここがオレの家。」
ガチャッ、ガチャッ
ユージ「ただいまー。」
ユージの母「お帰り、ユージ。あっそう言えば、2、3分前からアキラ君たちが、ここに来ているわ。」
ユージ「あっ、ヤッベー。」

ジュン「おっ、ユージどこに行っていたんだ。」
ユージ「いや、ちょっとな。」
スザク「所で、そのイーブイはどうしたのよ?」
アキラ「それよりも、ユージ。見せたいものがあるって、言ってただろ。」
ユージ「あっ、そうだった、そうだった。」
カタッカタカタカチッカチッ、
ユージ「あっ、あったあった。このホームページさ。」
ジュン「へぇ〜、」
エリ「このホームページは見たことがあるわ。」
アキラ「そうそうコレは・・・、って、えーっ。」
スザク「ウ、ウソでしょ、」
ジュン「イ、イーブイが、」
みんな(ユージとエリ以外。)「しゃべったー。」
スザク「でも、何で?」
エリ「説明するわ。」

―翌日の夜―
ユージ「・・・・あっ」
エリ「どうしたの?」
ドタバタドタバタ
エリ「・・・・一体何かしら」
ユージ「えーっと」
ジリリリン、ジリリリン、ガチャ、
アキラ「はい・・・」
ユージ「アキラ、こんな時間に、すまない。でも手がかりをつかんだよ。」
―ユージの家―
アキラ「んで、手がかりは何だ。」
ユージ「このメールだよ。」
そのメールには、こう書かれていた。
(やあ、ユージ、ヒロユキだよ。覚えているかい?例のメール読んだよ、「黒ずくめのやつら」をバルバドス島行きの船で見かけたけど、何しに行ったのかわからない、やっぱりあのロケット団がからんでいそうだ、なんかいやな予感がする。それと、ポケギアの電話番号を教えてくれ。次の連絡は話合うことになるぞ。じゃーなー。)
ジュン「ヒロユキか、なつかしいな。」
アキラ「でもアイツ、今どこに住んでいるのだろ〜。」
ユージ「発信先は・・・、オレンジ諸島のリョクショク島だって。」
スザク「リョクショク島?ジョウトやカントーでは、珍しいポケモンがいる島よ。」
エリ「それに、ポケモン保護区があるわ。」
プルルルルル・・・・。
ユージ「あっ電話だ。しかも、・・・ヒロユキからだ。」
ピッ
ヒロユキ「やぁユージ。わるいニュースだ。やはりバルバドス島にロケット団がいるようだ。何故なら、昨日の夜、犯行声明が隣の家の電話に来た。内容は、「我々ロケット団は明日の深夜2時に10歳の少年をさらいに行く。」と言っていたが、明日の2時どころか、今日の朝の通学途中にいなくなった。さらに、30分前に、「おまえの家の子供は我々がさらった。」と言った後、身代金の要求も無く、いきなり切れた。」
ジュン「ってことは、ロケット団は・・・。」
ヒロユキ「そうさ、ジュン、君の思っているとおりだ、ロケット団はこのオレンジ諸島を中心に復活をしようとしていると言うことだ。さらに、向かい側の家にも犯行声明が来た。一様、[外に出ないように]といっていたけど、僕も正直、危ないだ。」
アキラ「何か打つ手は無いのか・・・・。」
ヒロユキ「あるよ。アサギシティの港で定期船のチケット買って。終点まで乗る。定期船の終点はリョクショク島だしこの住所を覚えとけばいいんだ。ちょっと待って。」
ピッジョー、ピッジョー
ユージ「んっ」
メール「住所リョクショクタウン5―17―11電話番号 026−2653−7468。」
ヒロユキ「メール行った?」
ユージ「う、うん。」
ヒロユキ「今送ったのが住所と電話番号だから、ちゃんとメモしてくれ。きっと役にたつはずさ。それじゃあさって。」
プツッ、ツーツーツーツー
ユージ「・・・どうする。」
エリ「私は行くわ。」
アキラ「・・・」
スザク「・・・」
ジュン「・・・行くしかないだろ。ヒロユキが危ないし、オレたちが行くしかないだろ。」
ユージ「アキラとスザクはどうする。」
アキラ「・・オレも行くぜ。」
スザク「あたしも行く。」
ユージ「よし、急いで荷物をまとめよう。」
アキラ「準備はOKだ。」
ジュン「オレもだ。あとはお金だけ。」
スザク「あたしはまだ・・・」
ユージ「よーし、明日の朝、出発だ。」
みんな「オー」

こうして、5人は旅の第一歩を踏み出そうとしていた。
だが、ユージには、1つ問題があった。
銀行からお金を出すとき、ユージは母親に、「旅に必要なんだよ。」と言ったからお金の心配はなかった。
手持ちのポケモンも、もうすでに決まっていた。
その「1つの問題」とは、エリの弁当だった。
つまりおにぎりか、ポケモンフードか、と悩んでいた。
悩んだ末、おにぎりにした。
そんなこんなで、一夜が過ぎようとしていた。
さらに、その日の夜。
郵便屋の人「こんにちは、お届け物です。」
ユージ「ハーイ。」
郵便屋の人「ええと、ハンコはいいです。」
バタン
ユージ「なんだろう。」
ビリビリ、
ユージ「あっ、」
ドタバタドタバタ
ユージ「エリ、」
エリ「Z・Z・Z」
ユージ「・・・まいっか。」
ユージは、抽選で当てたリーフの石をリュックにしまった。
第1幕 第2章へ続く
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