小説 僕たちイーブイキッズ 第2幕 第1章「Fight 〜女たちの戦い〜」
ユージとエリが出会ってから、ほんの1週間なのに、2人はとても親しくなった。
アキラ、スザク、ヒロユキなど、誘拐されて、入れ替えられた子供たちのDNAは何とかロケット団基地の実験室のパソコンから見つかり、元の人間に戻すことができた。
さらに、サカキと他のロケット団幹部も警察に逮捕された。だが良いニュースばかりではなかった。
それはエリのDNAデータが、実験室のパソコンには全然、記録されていなかったことだった。
だが、エリはこの事実を受け入れるしかなかった・・・。
ユージ「エリ・・・。やっぱりつらいよな・・・。」
アキラ「確かに、一生イーブイのまま過ごすなんて。耐えられないよな。スザクとヒロユ
キとオレは、何とか、人間に戻れたけどな・・・。」
エリ「・・・でも、すぐ慣れるわ。」
ユージ「両親はいないのか。」
エリ「ちょっと前に死んだのよ。」
ユージ「えっ、・・・・・マジなのか。」
エリ「・・・・・・。」
ユージ「(精神的ショックはかなり大きいみたいだな・・・・・。)」
エリを1番心配していたのは、明らかにユージだった。
夜空に星が見えるほど晴れていたのに、ユージたちの乗った船はとても暗かった。
でも、
ユージ「でも、エリ。まだチャンスはあると思う。生きているんだから。」
―次の日の朝―
ドォォォォォォン
ヒロユキ「な、な、何だー?」
ユージ「す、すごいゆれだ。」
2人が着替えて、そとの様子を見ると、
なんと、夏の海が広がっているオレンジ諸島のある島の海岸に船が乗り上げてしまった。しかも、船が乗り上げた島は、ブリザード島という名の一年中雪の島だった。
だが、あんまり寒くない。
なぜ、流れ着いてしまったのかと言うと、実は、ユージたちが表彰状の代わりにもらった船は、なんと、全員が寝ている間にエンジントラブルを起こし、風や波にさらわれてしまったからだった。
ヒロユキ「ワーオ、一面雪景色だな。」
ユージ「みんなを起こそう。」
コンコンッ
ユージ「スザク、エリ、起きろ。外がすごいんだ。」
スザク「うーん、」
エリ「朝から何?」
ユージ「雪だよ、雪。」
スザク「雪?」
サーッ
スザク「ほ、本当だわ。」
エリ「きれいね。」
コンコンッ
ヒロユキ「アキラ、ジュン外見てみろよ。」
ジュン「スゲェな。」
ヒロユキ「って、起きていたのか?」
ジュン「ああ、」
ヒロユキ「それじゃ、アキラも起こそう。」
ジュン「それはやめといたほおが良いと思うけど。」
ヒロユキ「何故だ?」
ジュン「こいつ寝起き悪いんだ。」
スザク「ねぇ、朝ご飯外で食べない?」
みんな「賛成!」
と、言う事で5人は、洞窟の入口の近くで、サンドイッチを食べる事にした。
だが、この5人を鋭い目つきで見る。奴がいた。
ユージ「?、今誰かに見られていなかったか?」
スザク「・・・考えすぎじゃない?」
ヒロユキ「なぁここの洞窟の中、何となく気にならないか?」
エリ「確かにねぇ・・・、でも遠慮しておくわ。」
ユージ「オレもやめとく。」
ジュン「じゃあ、エリとユージはここで待っていてくれ。」
スザク、ヒロユキ、ジュンは、洞窟の奥へ奥へと入っていった。
だが、
???「私の縄張りに入ったら、絶対に生きては帰さないわ。」
スザク「・・・誰!」
???「フゥー。」
カチーン
ヒロユキ「ゲッ、」
ブリザー「私の名前はブリザーよ。」
ヒロユキ「ヒ、ヒィー、逃げろー!」
ドドドドド
ユージ「んっ、何だ?」
エリ「ヒロユキよ。」
ヒロユキ「はぁはぁ。」
エリ「一体何があったの。」
ヒロユキ「ス、スザクが、カ、カチンコチンに。」
ユージとエリ「えーっ、」
ヒロユキ「スザクとジュンを凍りずけにしたポケモンは確か、ブリザーっていうポケモンだった。」
ピッピッピンッ
ポケモン図鑑「ブリザー、イーブイが進化したと言われているが、この仮説は未だに証明
できない。氷の息で、相手を凍らせることができる。」
ユージ「ヒロユキは先に船に戻っていてくれ。」
ヒロユキ「あ、ありがたい。」
エリ「どうする気?」
ユージ「ジュンと、スザクを助けに行く。エリ、トゥフレアに進化させとくぞ。行け、ヒノアラシ。」
ブリザー「コリずに、また来たわね。」
ユージ「ジュンとスザクを返せ。」
エリ「何故こんなことをするの?」
ブリザー「うるさいわ。人に飼われているポケモンなんかにそんな事言われたくないわ。」
エリ「・・・私は、ほんの2週間前まで人間だったのに、そんな事言われたくないわ!」
ブリザー「でも今はポケモンでしょ。」
エリはブチギレた。
ユージ「・・・(怖)。」
エリ「ユージ、早くこんな奴を倒しちゃお。」
ユージ「そ、それが・・・。ゴニョゴニョゴニョ。」
ベシッ、
ユージはエリにビンタを喰らった。
エリ「何で、ブリザーをやっつけるのが、ヒノアラシなの!?」
ユージ「だ、だって、ヒノアラシのほうが、反射神経が良いからだよ。」
エリ「私は人間のとき、テニスをやっていたし、反射神経は良いのよ!
ヒノアラシの鈍い反射神経と一緒にしないでっ!」
ヒノアラシは頭の中で、こう思っていた。
ヒノアラシ「(に、鈍いっ!?)」
エリ「・・・アッ、ユージ、こんなのどう。ゴニョゴニョゴニョ。」
ユージ「おっ、ナイスアイディア。戻れ、ヒノアラシ。」
ヒノアラシ「(え、親っさん、僕は一体何のために出てきたのさ〜。)」
ヒノアラシがそう思いながらも、ユージはヒノアラシをボールに戻した。
エリ「ブリザー。あなたの相手は私よ。」
果たして、ユージとエリが考えた作戦とは何か、
ユージ「作戦通りにやれば大丈夫さ。」
ブリザー「そう、じゃあその作戦というものを見せてよ。」
エリ「行くわよ〜、だいもんじ。」
ボォォォォ
ブリザー「おっと、どこ狙っているの、わたしはここよ〜。」
エリ「だったら、連続で火炎放射。」
ボォォォォ
ボォォォォ
ボォォォォ
ブリザー「はずればっかりね。今度は私の番よ。冷凍ビーム。」
シュゥゥゥゥゥ
ピョンッ
エリ「やるわね。それじゃ・・・、」
ブリザー「それじゃ、何?」
エリ「火炎放射よ。」
ボォォォォォォ
ピュンッ
ブリザー「またはずれよ。一体ドコ狙っているの。」
ユージ「狙いはそこなのさ。」
ブリザー「えっ、」
ブリザーが避けまくったおかげで、なんと、ジュンとスザクを覆っていた、氷のベールを、炎系の技で溶かしていたのだ。
ジュン「ハックショーン。」
スザク「一体、私どうなったの。」
ブリザー「そう、じゃあ、コレならどう。吹雪。」
シュゥゥゥゥ
エリ「ユージ、危ない。」
シュゥゥゥゥ、ドドドドド
エリはユージを構って、前と後ろの左足が、凍ってしまった。
ユージ「エリ、大丈夫か、」
ブリザー「あんな、バカなことをするなんて、やっぱり、人間に飼われているポケモンよりも、私みたいな野生のポケモンの方が一枚上手ね。フフフ。」
スザク「!」
スザクは、いきなり入口に向かって走り出した。いったいなにをする気なのだろう。
ブリザー「フフフ、やっぱり人間なんて、みんな臆病なのね。それじゃあ、トドメよ。」
シュゥゥゥゥ
ブリザー「!?」
スザク「いいえ、私は逃げないわ。行くわよー、ピジョット。」
ブリザー「そんなザコが相手なんて、あんた、私をなめているの?ひとひねりでつぶしてあげるわ。吹雪。」
スザク「私のピジョットがザコ?だったらコレはどう、ピジョット、サイクロン。」
威力が130のサイクロンが吹雪と技がくっついてしまっていた。
そして、その技(=フリーズストーム)がブリザーに当った。
サイクロンを使ったのはこれが狙いだったのだ。
ブリザー「キャァァァ。そ、そんな・・・。」
ブリザーは、下半身が凍りついた状態だった。
バタッ
スザク「やった、私たち勝ったのよ。」
そのとき、いつの間にか、意識を取り戻したエリが、ブリザーにたずねた。
エリ「あなたは、イーブイの進化系なの?」
ブリザー「そう、私はイーブイから進化したのよ。ただ、1回、体力を消耗してしまうと元に戻ってしまうけど・・・。」
エリ「なぜこんなことをしたの?」
ブリザー「私はトレーナーに大切にされずに、捨てられたのよ。
私は、自然が残っていて、安心に暮らせる所を探して、やっと見つけた。でも、トレーナーへの恨みは収まら無いわ。
・・・そして、この・・・洞窟で住むことにしたの。でも、たまに、人間が、ここを見に来ると、・・・・途端に隠れたわ。
でも、もう・・・隠れるのがいやになったわ。さらに、黒ずくめの集団がここに現れ始めたとき、この姿に進化していた・・・わ・・・。」
ガクッ
ブリザーは体力を消耗して、イーブイに戻った。しかも、水色のイーブイだった。
ジュン「どうする?このイーブイ。」
ユージ「そうだよな、このまま放っておくわけにも・・・。」
ジュン「どうする?」
スザク「・・・私に任せて、いけっ、レベルボール!」
ガシュン
まぁ一件落着、ってことで、4人は船に戻ることにした。が、
アキラ「アーアッ、参ったなー、確かに機械をいじるのには慣れちゃいるけど、
なんで、このオレがスクリューの修理なんかやらなきゃいけないんだょぅ・・・?
ヒロユキの方が船の扱いに慣れているはずなのに・・・。」
ガガガガ
ヒロユキ「アキラ、壊れたスクリューは取り外せた?」
アキラ「さっさとスペアパーツを持って来い。」
ヒロユキ「ずいぶん荒れているな。」
アキラ「当たり前だろ、だいたい、おまえの方が、船の扱いに詳しいだろーが。
さっさとスペアパーツを持って来いっ!」
ヒロユキ「分かった分かった。」
アキラ「おっ、ユージ、お帰りっ。」
ユージ「所で、なぜスクリューの修理なんか?」
アキラ「海岸に乗り上げたときにスクリューが壊れちまって。て、入らねーじゃないか。」
スザク「あっ私に任せて。」
アキラ「スクリューを直せるのか?」
スザク「ええできるわ。」
スクリューを取り付ける時間と外す時間はほぼ同じ。
アキラはスクリューを外すのに、10分かかったのに、スザクは取り付けをたった、3分で終わらせた。
スザク「コレで、動くはずよ。」
ガガガガガガガ
ユージ「それじゃ押してくれ。」
スザク「OK。」
スザクがまず、船を押して、それから、
スザク「行くわよ、ピジョット。」
ピジョット「ピジョー。」
そして、スザクがピジョットに乗って、ユージたちの乗っている船に行くということになった。ひとまず、ガソリンを補給するため、1日はかかる距離にある。ケープ島へと、舵をとった。幸い、ガソリンは、あと1日分あった。
そして、新しい旅仲間も増えた。
第2幕 第2章へつづく。
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