小説 僕たちイーブイキッズ 第2幕 第9章「生と死の狭間」
―セントラルシティ港内のポケモンセンター―
手術室の一室が使用中になっている。
その待合室にいるのは、ユージたちだったが、エリがいない。
事は、6時間前に遡る
―6時間前―
ユージ「なんだか、嫌な天気になりそうだな。」
アキラ「そろそろ6月の気候になってきたからじゃないか?」
いや、実はセントラルシティには、1ヶ月に2回しか雨は降らない。しかも、ドカ降
りしか。
「それなのに、何故、その周辺の森が枯れないのか?」と言うと、この森には、「天
候制御装置」という、世界に、たった2台しかない、珍しい装置があるからだ。
しかし、
ズゴォーン!!
ジュン「うわぁ!」
スザク「か、雷!?」
雷を起こすような、プログラムはされていない。
となると、誰かが細工したか、あるいは故障したとしか考えられない。
ズゴォーン!ズッシャーン!!
アキラ「急げ!!」
ユージ「町の方が安全のはずだ。」
ズッシャーン!!!
エリ「キャァァァァァァァ。」
ユージ「エリ!!」
ヒロユキ「ヤバイぞ、重症だ!!」
エリは雷に撃たれてしまった。
ユージたちは、雨の降る中、セントラルシティまで走った。
ヒロユキ「急ごう、雨が強くなってきている。」
スザク「あれがセントラルシティよ。」
セントラルシティに着いた。
しかし、ポケモンセンターが見当たらない。
スザク「大変だわ。」
ストライプ「ちわーっス。」
ユージ「うわっ!?」
ストライプ「うわっ、はないだろ、でもこれはマジで重症だな。セントラルシティ港
の中にポケモンセンターがある。案内する。」
―セントラルシティ港内のポケモンセンター―
ジョーイ「これは、大変だわ。ラッキー、手術の準備を。Drテリー。」
Drテリー「・・・イカン、すぐに手術だ。雷に撃たれたようだな。ナース、すぐに
大脳刺激装置を。」
ナース「わかりました。」
ジョーイ「意識は無し、心拍も止まっています。」
Drテリー「電気ショック充電、電気ショック100mmJ(ミリジュール)。下が
って、」

ジョーイ「心拍は、依然と止まったままです。」
Drテリー「電気ショック再充電、電気ショック150mmJ、下がって。」

ジョーイ「心拍と血圧戻りました。」

ストライプ「オレが見たところ、残念ながら、助かる確率は低い。助かったとしてm」
ユージ「やめてくれ!」
アキラ「非常識にも程がある。ユージはあんなに傷ついているのに、そんなこともお
構いなしかよ!?」
ストライプ「状況をわざわざ説明してやったのに。」
ユージ「状況ならよくわかるよ!エリは重体で、生と死の狭間を行ったり来たりして
いる。1、2時間後には死んでいるかもしれないのに・・・。」
ガチャッ
Drテリー「君があの、イーブイのトレーナーかい?」
ユージ「容態はどうなんですか?」
Drテリー「幸い、助かったよ。でも、手術をしないと・・・。大脳が機能していな
いから。もし、手術をしなかったら、一生昏睡状態が続く。」
ユージ「・・・お願いします。」

あの出来事から、6時間たった。
未だに手術は終わらない。
ユージたちに緊張が走る。
ピピンッ
Drテリー「ハァ・・・。手術成功だ。後遺症が残ってしまうが。」
スザク「まさか、植物状態に?」
Drテリー「それよりは、マシだ・・・。明日話そう。今日は寝なさい。」

―翌朝―
Drテリー「ユージくん、とても、酷な話だ・・・。つまり、君のイーブイだが・・
・。」
エリ「ブイ・・・。」
ユージ「・・・。」
Drテリー「記憶を無くしてしまったんだ・・・。つまり記憶喪失だ。この原因は、
雷に撃たれてしまったからだ。それに、同じ方法で、記憶を取り戻すのはとても難し
い・・・。むしろ、そんなことをしたら、死んでしまうかもしれない。」
ビュゥゥゥゥゥ・・・。
ナース「先生!!大変です!!嵐が発生して、何人か運ばれてきます。さらに、数人
が、ここに避難してきます。」
Drテリー「わかった!すぐに、オペの用意と避難場所の確保だ。」
第2幕 第10章へ続く


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