「わあっ・・・・」
たくさんの緑の山。キラキラと光る塔。カントー地方は自然も豊かで、都会だとは聞いていたが、想像を絶する景色に、アイナは感動を隠せなかった。
「凄い凄い凄い!!ヤンヤンマ、あなたもこんな所にこられて嬉しいよね?」
「やん〜。」
ヤンヤンマは羽を震わせて笑った。
「あの・・・」
「ん?」
振り向くと、そこには同い年くらいの少年が立っていた。
「ここ、いいかな?」
「えっ・・・はっ・・」
少年はにっこりと笑ってアイナを見た。
「い、いいですよ。どうぞ!」
「失礼します・・。」
トレーナーかな、と思って彼を見る。・・・しかし、何故かバトルをするような人には見えてこなかった。
「君は・・どこから?」
「えっ・・・・ホワイトシティですけど・・・・」
「そうか。俺はラルースから。君、名前は?」
「あ・・・アイナです。」
「俺はカツキ。よろしく。」
はあ、と、アイナは何故だか調子が狂ってしまうような気持ちでいた。
「あの・・・」
アイナが問う前に、君は、とカツキが言った。
「どうしてヤマブキに行くの?」
「それは・・・・」
どうしてだろう。それしか早く追いつく方法は無かった、というのもあるけれど。なにより・・・
「自分の道だから、かな?」
「えっ?」
「あっ、あの・・なんていうか。私、幼馴染がいて。でも、ソイツは先にカントーに・・・・。ただ、何と言うか、私とソイツはライバルなんです。だからかな、同じ道を歩みたくなかった・・・・違う旅をしたかったのかもしれない。」
「・・・・・・。そうか。」
そうだ。私は・・・アイツを、トウタを越えなきゃいけない。
『次は終点、ヤマブキです。お降りの際は、足元にご注意ください。』
「あ・・・」
「おりなきゃね。」
 アイナはゆっくりと、カントーの地に足を踏み入れた。
「・・・・わあっ・・・」
上を見上げて、見えたのはポケモンタワー。駅には人が、ホワイトシティとは比べ物にならないほどいる。
「凄いね、カツキく・・・」
振り向くと、さっきまでいたはずのカツキの姿が見えなかった。
「あれ・・・?」
もう行ってしまったのかな、と思い、アイナは歩き始めた。
「・・・・あの娘、凄いトレーナーになる資質がある・・・。な、ホーホー。」
「ホホーッ・・・」
ばさっ、という音と共に、少年はヤマブキの空へ飛び立った。
「さあ、行こう、ヤンヤンマ!まずは・・・ジム!」
「ヤン!」
こうして、アイナはカントーにやってきた・・・が。ここから早速起こる出来事を、アイナは全く予測していなかった。
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