事件から6日後午後3時33分・・・放課後の新聞部部室

事件があと少しで解決できそうな今日この頃・・・。優磨は昨日の聴取で聞いた事を整理していた。
整理した結果矛盾している点が一つ見つかった。
天見はるかと間宮の質問の答えを照らし合わせたところ、「不振な音を聞きましたか?」の部分で「聞いてない」「聞いた」の矛盾がでた。
間宮か天見が嘘をついているのか、それとも天見がただ耳が遠いだけなのかこの二つだ。
と言う事でこの矛盾をなくすため、未来に頼んで二人に聞きに行って貰った。だが、二人には相手が出した答えを教えてはいけない。ここで教えると、「ああ、今よく考えてみたら・・・」と言う事を言われて嘘かどうか分からなくなってしまうからだ。それを未来に言って、聞きに行って貰った。それともう一つ・・・。


そして、暫くして・・・。

「優磨さーん。聞いてきましてよ〜」

ドアがガッチャと開き未来が入ってきた。手にはメモ帳も手にしながら。未来は、優磨の前に座り手帳を開いた。

「で、どうだった?」
「二人ともそれは、「真実」ですと言ってました」

ハッキリとは言えないが、犯人は天見はるかだ。
凶器は花瓶、人を殴るなら音はするはずだ。それが聞えないとなると耳が遠いではなく、嘘になる。仮定だが、犯人の確率は高い。

「そうか、じゃあもう一つの方は?」
「はい、もう一つは資料室から職員室までの距離ですよね。距離は物凄く近いです。歩いても一分もかかりません」
「・・・そしたらおかしいな」
「なにがです?」
「おかしいだろ。天見は安部が死んだ時、「不振な音は聞いてない」と言ういい方したぞ。それで間宮は、「不振な音を聞きました」と言ったんだ、資料室から職員室まではとても近いし天見が聞えないはずはない」
「・・・確かにおかしいですね。でも、もしかしたら天見さんは耳が遠いんじゃないですか?そしたらほら、つじつまが付くじゃありませんか」
「俺もそれを考えた。だが、大きな音を聞いたと言った方が良いだろ。そしたら間宮と同じ意見にもなるし、自分が犯人だと言う事にならないだろ。しかも、誰が犯人か錯乱にもなる」

その通り。もし自分が犯人なら、嘘をつくより大きな音を聴いたといったほうが良い。犯人の自分が嘘をついたら、無実の間宮が真実を言って自分が犯人だと限定されてしまうからだ。それを考えたら言った方は自殺に等しい。

「う〜ん。分からなくなってきましたね〜」

そう言って未来は両手を頭の上に乗っけてウンウンうなっている。
その間に優磨は、矛盾を整理している。

注:ここから優磨視点になります。

天見が不振な物音を聞えていない、でも間宮は聞いている・・・。
どちらかが嘘をつきややこしくしている。資料室までの距離は1分もかからない、花瓶が割れる音がしたら気付くはず。
と言う事は天見?安部がトイレに立ったあと、天見も出て行ってる。
天見が安部を資料室に呼び出し、あらかじめ置いておいた花瓶を後ろから殴る・・・。そして、聞いてないと嘘をついた。これで十分天見を犯人に出来るのだが、なにか引っかかる。
そうだ、逆を考えてみよう。
間宮が聞えたと嘘をつき、聞えないと言った天見を犯人に仕立て上げた。そう考えると、間宮も白ではない。そう考えると、ややこしくなる。
ふーー、ややこしくなってきたから質問をしたところから考えてみよう。
天見は「不振な物音がしたか?」と聞いた後に凶器の写真を見せた。間宮は「不振な物音がしたか?」と聞いて・・・うん?聞いた後に「犯人は誰だと思いますか」だよな。写真は見せていない。
あれ?
  優磨視点 終

優磨はいつの間にか手にあごを乗っけて考えていた。何か分かったのか急に立ち上がり、うんうんうなっていた未来を呼んだ。

「未来、悪いがお前の情報力で間宮の死因を調べてくれないか?」
「え・・・は、はい」

わけも分からず、未来は部室にあるパソコンの前に座りパソコンを立ち上げた。
暫くして、パソコンの隣にあるプリンターから紙が出てきた。

「えっと、今調べたところ鈍器に殴られたと書いてあるんですけど・・・」
「あるんだけど?」
「あるんですけど、安部さんの傷口と花瓶を照合したところ合わないと書いてあります」
「・・・なるほど。そういうことか」
「そういうことって?」
「いや、俺が間違っていたということさ」

意味不明な言葉を吐き優磨は笑みを浮かべ、部室のドアへ向かう。
ハテナマークを浮かべている未来は首をかしげ、「何言ってんのこの人は」と言う目線で優磨を見ていた。

「未来。悪いが明日間宮先生を放課後ここへ連れてきてくれないか?」
「え、なぜです?」
「いいから、よろしく」

そう言って優磨は部室を後にした。







To be cntinued・・・
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