午後4時36分・・・・コンサート会場前

カラスが鳴いて夕刻を知らせる今日この頃・・・・。
優磨は、西園寺亮子にコンサートに招待されコンサート会場にやってきていた。本来ならば行きたくないのだが、小さい頃に亮子からコンサートに来ないかと言う誘いがあり行こうとしたのだが、ちょうどその時に親戚の四十九日だったため行けなかったのだ。連絡を入れて行かないと連絡しようとしたのだが、亮子の電話番号もコンサート会場の電話番号も知らなかったため、知らせることが出来なかった。
一応ピアノ教室が同じだったため、事情を話しお詫びを入れて事は終わった。だがその後一ヶ月くらい経った頃、またコンサートのお誘いがあった。その時は急な用事もなく行く事にした。そしたら悲惨な事が・・・・。この話はまだあるのだが、時間が経ってから話をしよう。

パンフレットによると、コンサートホールは大と小ホールに分けられている。大ホールは、6000人ほど入る大きさで小ホールは4000人入る大きさだ。また、6000人以上を超えた場合小ホールと大ホールをくっ付けて10000人が入るように作られているみたいだ。さらに、ホールの外では三ツ星シェフが居るレストランや最高パティシエが居る洋菓子屋はもちろん、エステや宝石店があるという凄いところだ。更に更に、その店全部が市販でやっているものより半額と言う、これはまた凄い。優磨はそれ知って、「凄いやつに因縁をつけられたものだ」と言っていた程だ。
そんな所に向かう優磨達だった。
だが、そこに本来来てはいけない者が居た。それは、矢野未来だ。
今回のコンサートは、お金を払って見るのではなく招待状を貰ってそれを持って行くので貰っていない未来は、来てはいけないのだ。
だが、未来は裏ルートらしきものを使い招待状を手に入れたようだ。でも、それだけではまだダメだ。招待状には、バーコードが付いていてそれを読み取り本人かどうか判断する機能が付いているから無理だと思われたが、未来はそれを改造、書き換えして入れるようにしたのだ。何故そこまでしてくる必要があるんだ?と優磨がたずねた所、誰かさんに優磨さんが騙されないようにするため、と言ったらしい。(まったく意味が分からん(優磨)
そうこうしている内に、コンサートの中に入る受付まで来た。そこには綺麗に髭を伸ばしタキシードを着ているおじさんとドレスを着た女性が立っていた。
その女の人に、二人は招待状をその人に渡し本人かどうか確認する装置入れ確かめているようだ。

「おい、お前が作った物は大丈夫なのか?」
「私をなめないで下さい。あれくらいなんとでもありません」
「あのすいません」

そう言って、そばに立っていたおじさんが招待状を一枚持ち少し困った顔をしながら二人に話をかけてきた。「やっぱりバレたか」「そんなはずでは;」と小声で会話した。

「もしかしてそちらの方は神代優磨様でいらっしゃいますか?」
「あ、はいそうですが・・・」
「あ、そうでございますか。私は西園寺鉄文総裁の秘書の佐野満と言う者です」
「ハイ・・・」
「亮子お嬢様から優磨様に伝言があります」

そう言って、佐野満と名乗る人は内ポケットから小さな手紙を出し優磨に差し出した。

「長文のために、手紙でお渡しいたします。すみません」
「いえ、此方こそお手数をかけまして」
「いえいえ此方こそ。あのーすいませんそちらの方は・・・」
「あ、私は矢野未来と言います。今回、お招き頂きありがとうございます」
「あ、そうでございますか。いや〜、此方の名簿にちょっと見当たらなかったもので」
「ハハハハ(乾いた声)」
「それでは、奥にお進み下さい。赤いドアがありますのでそちらが小ホールになっております。そして此方が席の場所を記した紙でございます。それでは良いひと時を・・・」

そう言って、佐野は受付に戻った。優磨達は言われたとおりに進んだ。進むと言われたとおり赤い2メートル程の分厚いドアがあった。
中に入ると、想像以上に広く人が沢山人が居た。赤い装飾が施された座るイスがありそれが何千個もあった。奥には真っ赤な色に白と青の刺繍で施されて大きな鳥の絵が縫ってあるカーテンがあった。

「えっと、場所は・・・。最前列のZの5ですね」
「俺は・・・・。お前の隣Zの6だな」

そう言って歩いていくと、遠くからだと小さかったカーテンが近づいていくうちに大きくなっていった。そして、二人は自分の席に座った。そして優磨はさっき貰った、伝言が書かれた紙を出し黙読した。その内容は。

「フフ。貴方がこれをZの6に座って読んでいると言う事は、用事も無くちゃんと約束どおりここに来たようね。まぁそうよね。私の華麗で綺麗な弾き姿と、優雅で寂寞とした曲を聴きたいから来たのよね。そうじゃなきゃこんな所にアンタが来るはず無いからね。
フフフフ。まぁそれはさておき、このコンサートが終わったら楽屋に来なさい。話があるから。多分道が分からないと思うからお父様の秘書の満さんに行ってもらうからそのつもりで。場所は、大ホール入り口近くにいるわ。もし逃げたりしたら承知しないわよ。
                     西園寺亮子より」
「・・・・・・・さて、ツッコミどころがありすぎてどこからしたらいいのやら。まぁ「寂莫(じゃくまく)」と言う言葉の使い方が間違ってるな。そこは突っ込んでおこう」

読み終わると、後ろに迷惑がかからない程度に軽く伸びをしてここに来る途中で買った小さいペットボトルのコーヒーを飲んだ。軽く喉が渇いた喉には最高だ。ふと、隣に座っている未来を見るとなにやら携帯電話をいじっていた。のぞいて見ると、何処かの名簿のページにアクセスしているらしくそこにカチカチと自分の名前を打っていた。

「何をやってるんだ?」
「あ、今西園寺家が作った招待客の名簿にアクセスしてるんです」
「そこで何を?」
「自分の名前を入れてるんですwキャ♪」
「キャじゃないキャじゃ!」

どうやら先ほど受付に居た満の言葉に気付いて、慌てて今名簿に自分の名前を打ってるところだ。やはり完璧にやったとしても絶対どこかでボロが出る、犯罪も同じ。この世に完全犯罪など存在しない。たとえ存在していても、どこかで捜査の方法を間違えたり証拠を見逃したりなどがありやはり絶対に無いのだ完全犯罪など。
そんな事を考えていたら暫くしてコンサートが始まる合図の音がホール中に響いた。その音と共にざわざわしていたホール内が一瞬にして静かになり、二回目の合図がなった。すると、ホール内がだんだん暗くなり終には真っ暗になった。
優磨は、読んでいた手紙をポケットに入れカーテンを見た。暗くてよく見えないがカーテンがどんどん開いていくのが見え、暫くするとカーテンが全て開いき壇上が見えた。すると、壇上が明るくなり全てが見えた。壇上の中心には、大きなグランドピアノがあり、周りには何も無かった。そして、舞台の右の袖から黒いタキシードを着た佐野満の姿があった。満は壇上の真ん中に来ると、マイクを出した。

「え〜〜、紳士淑女の皆様。今日は我が西園寺鉄文が主催するコンサートに来て頂き真にありがとうございます。今回、ピアノを弾くお方は西園寺鉄文様の娘、西園寺亮子様でございます。それと、もう一人ピアノを弾くのはこの私でございます。え?こんなおやじが弾いても華が無いからつまらない?それはそうでしょう〜。亮子様が居ては全員華がなくなりますから」

そう言うとどこが笑う所なのか、優磨以外の人たちが皆笑った。恐らくみんなの緊張を解き、気持ちよく聴ける為に言ったのであろう。ふと隣を見ると未来もみんなと一緒に笑っている未来が居た。
優磨は、こんな奴も緊張するのか、と呟いた。みんなの笑いがなくなってきたところで「それではお聞きください」と言って満は、袖に向かい入れ違いのようにして西園寺亮子が出てきた。亮子は、とても綺麗なドレスを着ていて見る者を圧倒させるほどだった。プラス、スタイルと顔が良いためより圧倒される。
亮子はピアノがある壇上の中心に向かう。その姿もまた圧倒される。ピアノのにたどり着くと優磨達観客の方を向き一礼した。終えると、蓋を開けポールも立て鍵盤の方も開けた。
席に着くと、指を置いた。すると、軽やかな音楽が流れた。この曲は、かの有名なベートーベンが作曲した「月光」だ。この曲は、第一楽章が単純なだけにピアノを弾く人の個性が出るとも言われている。弾き手が弾き手だけに、とても優雅でとても綺麗で心が癒されるようだ。だが性格が少しギスギス?してるためか、本当に少しだけ音が強く聞える。ポロン、と言う最後の音と共に曲は終わった。18分あるこの曲が、2分しか経ってない感じがする。
すると、今度はラヴェルが作曲した「水の戯り」と言う曲だ。この曲は6分と言うとても短いが、とても華やかで優雅な感じ、ロマンチックな感じだ。だが、音の数が多く、細かく速いパッセージが要求される。美しく弾かなきゃいけないのでピアニストを泣かす曲だ。だが、そんな曲なのに簡単にとても美しく弾いて聴く者を圧倒される。その曲も、1分で弾き終わったようにまた錯覚される。
続いては、またベートーベン作曲の「ピアノのための大ソナタ(ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長短)」と言う曲だ。
ソナタ形式の第一楽章、気品を感じさせる第二楽章、軽快で優しい第一部を持つ第三楽章、最後に卓越したロンドの第四楽章。
もう言葉が出ない。ピアノを弾いていた優磨もピアノをよく知らない未来もそれに圧倒されて言葉が出ない。素人でも、美しい、優雅だ、と言う事が分かるほどだ。
そんな曲がしばらく続いて、ポロンと言う最後の音を奏で終わった。すると、隣にいた未来がパチパチと拍手をした。それが、どんどん大きくなっていき、拍手がホール内を埋め尽くした。亮子は、席から立ち拍手の中観客の方を向き一礼し袖のほうへと帰っていった。










「いや〜〜〜。物凄く綺麗で優雅な時間でしたね〜〜」

曲全て聴き終えて優磨達はホールの外に出て、カフェで一息いれていた。優磨は、コーヒーを飲み未来はパフェを食べていた。

「もうちょっと静かに食え。周りに迷惑だ」
「そんな事言ったって、本当に凄かったんですもん」
「確かに凄かったが、月光のところが少し指の使い方が違っていたな。だが、中々だ。あそこまで弾ける奴は早々いない」
「ですよね!ですよね!」

未来はそう言いながら、スプーンでパフェを食べていた。優磨は、コーヒーを飲みながら受付で貰った手紙を読んでいた。

「あ、そういえば優磨さん」
「ん?何だ」
「楽屋に行かなくていいんですか?亮子さん、怒っちゃいますよ?」
「あぁ、ちゃんと行く。後に何言われるか分からん」
「ですね」

この会話のなかで、パフェを全部食べてしまった。優磨もコーヒーを飲み終わりポケットから財布を出した。すると、財布を出す手が止まり固まってしまった。それに気付いた未来は優磨に話しかけた。

「どうしたんですか?」
「一つ聞きたいことがある」
「なんですか改まって」
「いや、たいしたことは無いんだが・・・」
「何ですか言って下さい」
「お前に音楽について綺麗で優雅と言う事が分かるのか?」

そういった瞬間に近くにあった伝票を、優磨に向かって思いっきり
投げつけそれが見事に顔面にヒット。優磨は、苦痛のあまり顔を抑えながらうずくまった。未来は、怒った様子で金を払わず店を出て行った。
暫くして、苦痛から放たれた優磨は席から立ち上がりレジでお金を払って佐野満が待ってる所に向かった。

着くと、そこには未来と満が立っていて二人で話をしていた。
満は優磨が来た事を見ると、安心した顔をした。

「来ましたか。それではご案内いたします」

そう言うとスタスタと歩いていった。二人はその後に付いて行くと、関係者以外立ち入り禁止、と書かれているドアに付き満は内ポケットから何個もの鍵が付いたリングを出した。その中から鍵を選びドアの鍵を開け、中に入った。
開けるとスタッフが廊下を走り回りダンボールを抱えて走る人が沢山いた。その間を縫うように、満は歩いていきその後に二人は付いて行った。進んでいくとだんだん少なくなっていき、ついにはスタッフの人がいなくなった。また暫く歩いていくと西園寺亮子と書かれた楽屋があった。満は、コンコンとドアを叩くと「入っていいわよ」と声がして「失礼いたします」と満が言うとドアを開け中に入った。中は、8畳ほどの部屋でメイクをする場所とドレスに着替える場所がある。更に部屋には大きな花が何個もあり花だけに華やかだ。そして、そのメイクをする場所で本を片手に持って優磨達を見ていた。

「遅いわよ!神代優磨!」
「フルネームで呼ぶな」
「それでは、お嬢様。私は鉄文様をお連れしてきますので・・・」
「わかったわ。お願いね」

そう会話すると、満は部屋から出て行った。それと入れ替わるようにして若い男と若い女性が入ってきた。男の服装は黒いスーツを来て、女は赤いドレスを着ていて、二人とも耳にピアスをしているのが目に入った。

「よう、亮子」
「ああ、竜彦さんに加奈子さんじゃない」
「竜彦?加奈子?」

近くにいた未来はハテナマークを浮かべながら未来は言った。すると、若い男が未来の前で膝をつき未来の手を取った。

「これはこれは、綺麗なお嬢さん。私の名前は田宮竜彦と申します。以後お見知りおきを」

そう言って、未来の手の甲ににキスをした。確かこの行為は相手を敬う行為だったような気がする。すると未来は、カァーーッと顔が赤くなりいわゆる赤面という奴だ。その次に、加奈子という人が未来の前にやって来た。

「私の名前は、赤坂加奈子と言うの。よろしくね」

そう言って、加奈子は踵を返し亮子の所に行った。未来は、キスしてもらっため「アワワ」と声を出しながらふらついた。それを静止するため、優磨が肩をポンッと叩く。そしたら、未来は我に返り赤面が普通の顔に戻った。

「田宮竜彦(たみや たつひこ)、ピアノ界に激震させた逸材だ。取った賞は今までに500個はくだらない。赤坂加奈子(あかさか かなこ)、ピアノ界に新しい風を吹かせた人だ。数々の賞を取った凄い人だ。お前も何回かテレビで見たことあるはずだ」
「へぇ〜〜、あれが・・・」
「そんな奴らと友達なんて、本当に凄い奴に因縁つけられたな」
「ほ、本当ですね」

そんな他愛も無い会話していたら、廊下の奥の方から男の悲鳴が聞えた。その声は、佐野満の声だった。その声に驚き、部屋にいた優磨達はドアの方を向いた。すると優磨は、勢いよくドアを開け悲鳴が聞えた方向へと走っていった。走る先には、ドアの前で座り部屋の方を指で指しながらガタガタと震えていた。何か、幽霊でも見たかのように。
優磨は、部屋の方に走っていき部屋の中身を見た。
後から、未来たちが走ってきて腰が抜けている満を見て何かがあったと分かり、皆部屋の中を見た。
みんな声が出なかった。
そこには、ナイフで5箇所刺された西園寺鉄文がそこに居た。









「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」














To be cntinued・・・・
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