午後7時49分・・・・・現場
「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
まるで空間を裂くような断末魔の悲鳴・・・・・。亮子は親が何者かに刺されたためと、このありえない光景のため精神の回路がショートし悲鳴を上げた。そのまま手で口を隠しながらその場に崩れた。隣に居た竜彦と加奈子はしゃがみこみおかしくなってる亮子を落ち着かせるため、言葉などをかけた。
一方優磨は、部屋の中に入った。
中はだいたい十畳ほどの部屋、亮子が居た楽屋を二畳ほど大きくした感じだ。鉄文は、部屋の真ん中にあるイスに座り机のうえにうつぶせていた。そして、背中の中心あたりにナイフが刺さっていた。
優磨は鉄文に近づき首に指を当て脈を取った。脈を取っている間に未来が部屋に入ってきて優磨に近づいた。
「し、死んでるんですか?」
「・・・・微かだが脈を打っている。すぐに警察と救急車を呼べ」
「は、はい!」
指示を出すと未来はバックから携帯を出し電話をした。その間に優磨は鉄文を見た。調べた所脈が微かに打っていた、刺さりどころがよかったのかそれとも刺されたのがついさっきだったのか、どちらにしても運がいい。刺された箇所が5個もあるのに生きてるなんて本当に運がいい。
ふと、鉄文がうつぶしている所を見た。うつぶしているしたにはパソコンのキーボードがあった。
「キーボード?」
そう言って、顔を上げるとパソコンのディスプレイが目に入った。ディスプレイには文章を作成する画面になっていて、恐らく会社で使う書類を作成するためだろう。その証拠に、難しい業界用語が見受けられた。だがその下に業界用語でもない日本語でもない文字があった。それは・・。
「QZVB?」
それを言ったのと同時に警察と救急車のサイレンが聞えた。未来が通報して来たのだろう。暫くして灰色のスーツを着て、上によく刑事ドラマで着ているコート?を着ている人が入ってきた。恐らく警部だろう。その後に、二人の私服を着た人が入ってきた。刑事だろう。後に続いて青い服を着て銀色に輝く、四角い箱を肩にかけながらやってきた。鑑識の人だろう。すると、灰色の服を着た警部らしき人が内ポケットに手を入れ、警察手帳を出しこう言った。
「警察です!皆さんこれから現場検証をするのでこの部屋から出てください!」
そう言われ優磨と未来は部屋の外に出た。出ると、警察と一緒に来た救急隊員が亮子に赤い毛布をかけていた。満の方は、さっきとは違い少し落ち着いていた。そして、部屋の中に救急隊員が入り鉄文を担架に乗せ部屋から出た。
「うみゃ〜〜〜〜〜〜〜〜;;」
「奇妙な声を出すな」
「奇妙な声って、人を動物みたいに言わないで下さい!」
「・・・・・心と体は動物だろうが・・・・」
そう言った瞬間、グーで殴ってきた。だが優磨は、サッと避けかわした。そして、もう一発未来がはなとうとした瞬間優磨の後ろから
声がした。後ろを向くと、さっきの警部らしき人だった。
「君たちはここの関係者だね。ちょっと事件の事で話があるから良いかね」
優磨達は、とある楽屋に居た。
警部らしき人が優磨達に話があるため、この部屋に居る。部屋は亮子が居た部屋と殆ど同じ、イスがあり机がある部屋だ。そのイスに優磨は座っていた。その他の面々は未来は、少しそわそわした感じでイスに座っていて、竜彦と加奈子は二人で話をしていて満は頭を抱えながら机にうつ伏していた。加奈子は、毛布を肩にかけながらイスに座っていた。すると、未来が優磨に話しかけてきた。
「優磨さん、事件の匂いがぷんぷんしますね〜」
「事件の匂いなんかしない。第一、これはもう殺人事件という立派な事件だ」
「そう言う事ではなくてですねぇ、私達が活躍する事件の匂いがするんですw」
「はぁ?」
あっけない声を出した時、部屋のドアが開いた。入ってきた人は警部らしき人と刑事らしき人だった。皆は、警部らしき人物の方へと目がいった。
警部らしき人は、オホンっと咳払いすると口をあけた。
「私は警視庁から来ました川原和樹(かわら かずき)警部です。・・・・まず、皆さんが知ってることをお話しましょう。刺された時刻は明確ではありませんが、西園寺鉄文氏が何者かに刺されました。犯人はまだ分かっていません。さて、じゃあ鉄文氏を最初に見つけた人はどなたですか?」
「私です」
そう言って立ち上がったのは、満だ。満は川原の近くまでいった。
「お名前は・・・・」
「佐野満と言います」
「・・・・では発見したときのことを話してください」
「その前に、鉄文さまの容態は・・・・・」
「お父様!?」
そう言って加奈子が立ち上がり川原に近づいた。
「鉄文氏容態はまだ分かっていない。分かっているのはまだ死んでないこと」
「・・・・・・・・・」
それを聞くと亮子はその場に崩れた。それに気付いた加奈子と竜彦と満はすぐに亮子に近づき亮子を立たせ、イスに座らせた。座らせた後満はまた川原に近づいた。
「大丈夫ですか?」
「はい・・・・・」
「では、事件の事を」
「はい。私は、鉄文様をお呼びに行った時のお話です。私は、鉄文様が居る部屋に来てドアを叩きました。でも、返事がなくてもう一度叩いても出てきませんでした。日常でもたまに呼んでも出てこないこともありました。それで、ドアを開けたら・・・・」
「鉄文氏がナイフを刺されて机の上にうつ伏していたと?」
「ハイ」
警部は胸ポケットから手帳を出すと、メモを縦にして書き始めた。書き終えると顔を上げ、満の顔を見て口を開いた。
「鉄文氏が居た部屋に行く間に、誰か見ました?」
「いえ、誰も見ていません」
「そこは、関係者以外は立ち入り禁止でスタッフ意外は近づけないんですか?」
「はい。スタッフも滅多に近づきません」
「・・・・と言うと?」
「鉄文様は、よく仕事をしていらっしゃいます。鉄文様は仕事をしているときに、わあわあと騒がしいのがお嫌いなので誰も近づけません」
「・・・・・それでは唯一近づける鉄文氏に近づける人達は?」
「私と亮子様、それに加奈子様と竜彦様だけでそれ以外は誰も・・・・」
「そのときに、部屋の中もしくは鉄文氏に触ったり動かしたりしましたか?」
「そ、そんな事いたしません!」
その言葉に満は声を荒げた。川原はその声に同様もせず黙々とメモ帳に情報を書いていく。
「では、貴方が部屋に行った時意外で他に人を見かけませんでしたか?」
「いえ・・・・。それ以外では」
「俺見たぜ」
口を開いたのは、竜彦だった。竜彦は介抱を加奈子に任せると川原に近づいた。
「・・・・貴方は?」
「失礼。俺は田宮竜彦と言います」
「田宮竜彦と言うとあのピアニストの・・・・」
「そうです。よくご存知ですね」
皮肉めいた言葉を言うと、ポケットに手を入れ笑みを浮かべた。
「それで、見たというのは何時ごろで?」
「そうですね・・・。俺の記憶が正しければ、コンサートが終わってすぐの事かな。俺は、亮子さんの演奏を見た後亮子さんに会いに行こうとした時にたまたま部屋の近くに来たんです。そこで、人が居たんです」
「・・・・その人の特徴は?」
「身長は、170ちょっと。顔は少しひげがはえていましたね」
「なるほど」
また、メモ帳に情報を書く川原。竜彦は言い終えると亮子の近くに行った。川原は、質問が終わったのかメモ帳を閉じ顔を上げ「何かあったらまた聞きにに来るのでここで待機しててください」と言い残して部屋を出た。その間、優磨は腕を組み考えごとをしていた。その優磨を見て未来が話しかけた。
「優磨さん、分かりましたか?事件の全貌」
「・・・・・何故お前に言わなきゃいけないんだ?第一誰がこんな事やるっていった」
「細かい事気にしないで教えてください、考えたんでしょう?」
「・・・・・これだけではまったくな。もう少し情報が必要だ」
「よし!じゃあ探しに行きましょう!」
「待て。お前の思考回路はどうやってその言葉が導き出されるんだ?」
「だって、情報が足りないんですよね?なら探しに現場に行きましょ〜!」
「待てって。コラ!」
そう言うと未来は優磨を引っ張り部屋を出た。いや、部屋を出された。
腕を引っ張られ鉄文の楽屋へと着いた。そこに、見張りとして警官が立っていると思われたが「立ち入り禁止」と書かれた黄色いテープでドアの入り口に貼っているだけだった。未来はテープを抜け、優磨はテープに引っかかり体に何枚か張り付いた。
部屋の中を見ると、最初に来た時とほとんど同じ。変わっているといえば鉄文が、うつ伏していた所が白いテープでかたどられ、その近くには「2」とか「A」とか書かれた黒い板があるだけだ。
さっそく未来は部屋を探索した。いや、荒らしたのほうが正しい。
優磨は、体に張り付いたテープを取りつつ部屋を見た。
見たところ、部屋の隅や机には特に変わった所はなく問題が見られなかった。次に、机の下を見るとマットが敷かれていて「A」と書かれた板の近くに黒いような赤いようなシミが出来ていた。それが周りにも同様に着いていた。優磨は、それに近づきしゃがみこんだ。
それに気付いた未来は優磨と同様にしゃがみこみシミを見た。
「優磨さん、これは何ですか?」
「・・・・・血だ」
「ち、血ですか!?」
「そうだ」
「血ってもっと赤色じゃありませんか!?」
「血は、元々赤黒としたこういう色だ。酸素に当たると色が変化しピンク色になる。そして、その血がどこかに付着し数時間たつと色が変化しこういう色になる」
「へ、へぇ〜;よく知ってますね」
「中学の時に習ったはずだ」
「そ、そうですか?」
優磨は、ハァと溜息をつき立ち上がった。また回りを見回し、テーブルの上にあるパソコンに目がついた。パソコンには部屋に入って来た時と同じ画面、同じ文章が打たれていた。そして、業界用語でもない日本語でもない文字「QZVB」と書かれていた場所を見つけた。それを、さっきしゃがみ込んでいた未来が見つめていた。
「これなんですか?」
「さぁな。こんなの見たことないしな」
「じゃあ、事件とは関係ありませんね」
そう言って未来は他のところをあさった。一方優磨は、それをじっと見ていた。そして、何か分かったのか未来を呼んだ。
「なんですか?何か分かりましたか?」
「未来、悪いがこの文章をメモに書いといてくれ」
「え?何でですか?事件とは何も関係ないのに・・・」
「もしかしたら、関係あるかしれないんだ。だから取っといてくれ」
「は、はい。分かりましたけどどうしてですか?」
「もしかしたらこれ、鉄文が残した「ダイイングメッセージ」かもしれないからな」
「え、え〜〜〜!?」
そう言って優磨は、部屋を出た。未来は急いでその文章をメモ帳に書き部屋を出た。
To be cntinued・・・・・
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