第二章「欲しいか」


…僕の故郷が、音を立てて崩れてゆく。




…美しかったトキワの森の木々が…どんどん沈んでゆく。




…僕の大切なパートナー…ピカチュウのピカキチが……奴らに傷付けられていく。





…僕の家族が…皆無抵抗のまま傷付けられてゆく。







…畜生……!!!







やめろよ…お前等…!






僕の…僕の大切な人達に何すんだよ…!









僕の家族は…僕が護るって決めたんだ…!





これ以上…僕の家族に手を出すな…!












「人間が…私達に抵抗する気か。」



「大人しくピカチュウを差し出せば良い物を…下衆が。」



「トキワに生きるピカチュウには、特別な力が宿る。悪く思うな少年よ。」










黙れ。











黙れよッ…!!













ネオポケモンだか…何だか知らないけど…











お前等に…僕の大切な人達を奪う権利があるのか…!








僕の大切な人達を……










これ以上傷付けるのはやめろォォオオ!!!!


























…声にならない雄叫びをあげた。



…急に睡魔が襲ってくる。



…恐らく出血の影響だろう。



…関係無い。



…身体なんて……今は関係無い……!!



……一刻も……早く…………



コイツ等を……止めな…いと…………。







………立てない。









指先一つ動かない。













…畜生。










…何で……だよ。








…何だって僕はそんなに……











無力なんだよ…














…………。














力が…欲しい。














全て包み……護れる様な強い力。















僕は……力が欲しい!












「力が欲しいってのは、軽い気持ちで言ってんじゃないよね?」

「力を求める者には…相応の覚悟が必要だ。」















……お前は誰だ……















いや…そんな事はどうでもいい。















僕は……













「自分を捨ててまで…戦い抜く覚悟はあるかい?」












…………。













うん。














…自分の大切な人達を失いたくない。
















僕はその為にも……















僕の…大切な人を護れる力が欲しい。

















「受け取った。」









「君の覚悟を受け取ったよ。」








「なら、君は戦え。レイディオ・デ・トキワグローブ。」










「君は自分の護るべきモノを護る為に…」











「戦場を駆けろ。」








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